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暗号のかかったメッセージのやりとりは禁止に?ー英首相の発言が波紋

2015.01.14

Updated by WirelessWire News編集部 on January 14, 2015, 16:48 pm JST

デビッド・キャメロン(David Cameron)英首相が、やりとりされる通信の中味が第三者には解読できないメッセージソフトの利用を禁止する考えを示唆したことから、一部で波紋が拡がっているようだ。

同首相は現地時間12日、デジタル通信の監視体制強化に関する新たな案を提示したが、その際に司法・警察当局などには解読不可能な暗号化されたメッセージをやりとりするアプリを禁止にするとも解釈される発言を行ったという。

今回の提案は、先週パリで発生したフランス紙襲撃テロ事件を受けたもので、キャメロン首相は今年春に実施予定の総選挙で保守党が勝利した場合、同政権は暗号のかかった私的なメッセージへのアクセスを可能にする新たな法整備を進める考えを示唆。そのための具体的な方法は明らかになっていないものの、各媒体では、政府機関がこうしたメッセージにアクセスするための「バックドア」の取り付け義務化や暗号化を行う通信手段自体の禁止などの可能性が挙げられている。

キャメロン首相の提案が実施に移されれば、「WhatsApp」「Snapchat」「iMessage」「Google Hangout」など、多数のメッセージ関連アプリが影響を受ける可能性が高い。ただし、こうしたアプリ/サービスを提供する各社が英政府の命令に従うかは不明とされている。グーグル(Google)やアップル(Apple)などでは、NSAによる広範な通信監視プログラムの実態が明らかになったことを受けて、ユーザーのプライバシー保護を目的とした暗号化導入を進めてきている。

いっぽう、政府によるデジタル監視体制強化に対しては、これまでにプライバシー関連団体などから再三にわたって懸念の声が上がって来ている。ただし、今回の提案に触れたWSJでは、「こういった法律が制定されたとしても、それを実施することは不可能」「グーグルなどが政府の命令に従う法的義務はない」などとするプライバシー・インターナショナル(Privacy International)の広報担当者の声も紹介している。

【参照情報】
WhatsApp and iMessage could be banned under new surveillance plans - Independent
Cameron wants to ban encryption - he can say goodbye to digital Britain - The Verge
Privacy Groups Pan Cameron's Encryption Proposals as Unworkable - WSJ

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