欧州の大手ケーブル事業者アルティス（Altice）が、仏メディア・通信大手のビベンディ（VIvendi）に対して、同社が保有するニュメリケーブル・SFRの株式20%を39億ユーロ（45億ドル）で買い取る旨の提案をしたことが現地時間18日に明らかになった。ニュメリケーブル・SFRは、フランスで事業を展開するアルティス傘下のケーブル事業者ニュメリケーブル（Numericable）と携帯通信事業者SFRとの合併会社。

アルティスは昨年4月、ビベンディからSFRを170億ユーロで買収した際、ビベンディに対して135億ユーロの現金と合併新会社の株式20%を支払っていた。今回アルティスが取得を目指しているのはこの20%の株式で、合併会社の株式約60%を保有するアルティスは仏帯通信市場最大手のオレンジ（Orange）に対抗する上で、ニュメリケーブル・SFRへの影響力をさらに強めたい考えがあるとされる。いっぽう、ビベンディではニュメリケーブル・SFRの株式売却で得られる資金を使って新たな事業買収に乗り出す可能性などが挙げられている。

Bloombergによると、ビベンディがアルティスのオファーを受け入れた場合、株式の売却はニュメリケーブル・ SFRの株主総会後の4月30日以降に開始される見通しという。

またアルティスについては、仏携帯通信市場3位のブイグテレコム（Bouygues SA）の買収も視野に入れているとする情報筋の話が先週報じられ、その際に買収資金の調達や規制当局の反対など予想される障害を考慮している段階にあるとする話も伝えられていた。ニュメリケーブル・SFRとブイグテレコムとの合併が実現した場合、新会社のフランスにおける市場シェアは携帯通信分野で47%（現在は31%）、ブロードバンド分野では35%（現在は26%）にそれぞれなるという。

【参照情報】
・Telecoms tycoon seeks to buy out Vivendi from Numericable-SFR - Reuters
・Vivendi Gets $4.5 Billion Bid for Numericable-SFR Stake - Bloomberg
・Altice Offers $4.4 Billion for Vivendi's Stake in Numericable-SFR - NYTimes