Industrie 4.0 とは、従来の生産プロセスにまつわるロジックを逆転させる技術の進歩によって可能となった、「集中型」生産から「分散型」生産へのパラダイムシフトです。これはまた、産業用生産機械の役割の変化としても言い換えることができます。つまり、これらの機械はもはや単に製品を「加工」するだけではなく、生産プロセスと機械装置の相互コミュニケーションを通じて遂行するべきタスクを正確に決定することができるようになるということを意味しています。Industrie 4.0 は、組み込みシステムを用いた生産技術とスマート生産を結びつけ、テクノロジーを新たな時代へと導く道筋を提示しています。これは、産業および生産のバリューチェーンとビジネスモデルの根本的な転換 (例:スマートファクトリー) をもたらすことでしょう。
「Industrie 4.0」は、これらをさらに進化させ「サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System)」に基づく、新たなモノづくりの姿を目指すというものだ。サイバーフィジカルシステムとは、センサーネットワークなどによる現実世界(Physical System)と、サイバー空間の高いコンピューティング能力(Cyber System)を密接に連携させ、コンピューティングパワーで現実世界をより良く運用するという考え方。モノづくりでは、設計や開発、生産に関連するあらゆるデータをセンシングなどを通して蓄積しそれを分析することで、自律的に動作するようなインテリジェントな生産システムが想定されている。
インダストリー4.0はデジタル化とネットワーク化が産業界全体にもたらすインパクトをすべて包含している点でより上位の概念である。
そのコンセプトを一言で表すと、「つながる工場」である。インターネットなどの通信ネットワークを介して工場内外のモノやサービスと連携することで、今までにない価値を生み出したり、新しいビジネスモデルを構築したりできる。ひいては、それがさまざまな社会問題の解決に結び付くというのだ。
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登録はこちら慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。