以前からアップル(Apple)の経営や財務に関するパフォーマンスについての分析してきているが、最近ではこれらの点についての他社との比較もはじめている。そこで今回は、まず手始めにマイクロソフト(Microsoft)との業績比較を見てみよう。
売上の区分は、アップルが製品ごと((iPhone, iPad, iPod, Mac, iTunes, ソフトウェアおよび周辺機器)なのに対し、マイクロソフトは事業部門別(Windows & Windows Live, サーバおよびツール類、オンラインサービス, ビジネス(Office), エンターテインメントおよび端末)となっている。下のグラフはこの区分に沿ったものである。
[マイクロソフト - 事業部門ごとの売上推移(2007FQ1-2011FQ4)/縦軸の単位は100万ドル]
2番目のグラフはすでにお馴染みのものだろう。
[アップル - 製品ごとの売上推移(2007FQ3-2011FQ2)/縦軸の単位は100万ドル]
縦軸の単位と横軸の期間は同じものに揃えてある。期間については2007年7月から2011年6月末までで、これは「iPhone登場以降」の時期と重なる。縦軸についてはどちらも300億ドル($30 billion)までとっている。
こうして比較してみると、アップルの類を見ない成長ぶりがより理解しやすくなる(そしてアップルの株価収益率=P/Eが15.7倍なのに対し、マイクロソフトのそれが9.5倍である理由もあるいは分かりやすくなるかもしれない)。マイクロソフトの売上はここ4年間増え続けてはいるものの、その増え方はアップルのそれには到底及ばない。同社の四半期ごとの売上は150億ドル〜17億ドルの間にほぼ収まっている
そのほかの興味深い点をいくつかあげておくと。
・Macの売上はWindws(部門)の売上を上回っている。
・iOS端末--iPhoneとiPadの売上はマイクロソフト全体の売上よりも多い
・アップルの売上は2007年第2四半期(CY)以降、現在までに413%増加しているのに対し、マイクロソフトのそれは26%増にとどまる。
・Windows 7については、発売された四半期こそ大きく売上を押し上げたが、その後は前バージョンまでとあまり変わらない範囲で推移しているようだ(四半期あたり42億ドル〜47億ドル)
ここで一番重要なのは、アップルの売上の伸びが新規ビジネス(iPhoneおよびiPad)からもたらされているのに対し、マイクロソフトのそれは既存事業の自然な増加によるものであるという違いだ。マイクロソフトの経営トップに対する批判は、目に見えて売上が成長していない点を理由にするべきである(オンラインサービス部門も、エンターテインメントおよび端末部門も、ほとんど成長していない点に注目いただきたい)。
[マイクロソフト - 事業部門別売上の推移(2007FQ1-2011FQ4)]
(執筆:Horace Dediu / 抄訳:三国大洋)
【原文】
・Comparing top lines: Apple vs. Microsoft -
【参照情報】
・Guess who generates more revenue, Apple or Microsoft? - Fortune
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