【企業名】Laipac Technology, Inc.
【所在地】カナダ(50 West Beaver Creek Road, Richmond Hill, Ontario L4B 1G5, Canada)
【URL】http://www.laipac.com/
トロントにほど近い場所にあるLaipac Tech社は1999年の創業で「Locate to Protect(守るための場所を特定する)」を標榜するGPSトラッキング関連製品のベンダーである。車両などのトラッキング用ハードウェアやアプリケーションも扱っているが、目立つのはブレスレット・ロケーターと名付けられた腕時計型のGPS機器S-911である。
アシステッドGPS(A-GPS)と呼ばれるGPSに携帯基地局の場所情報を補助(アシスト)に使って測位精度を上げる技術(iPhoneで使われていることで知られるようになった)を組み込んだ機器は、法執行機関や医療機関からの要求条件を満たすべく設計されたということで、防水はもとより、モーションセンサーや暗号化、省消費電力化(1回の充電で40時間以上)が図られ、主に子供や老人の保護、単独作業者の保護、犯罪者の自宅監禁、仮出所のモニタリングなどを想定している。
この腕時計は、単なる位置情報通知装置ではなく、音声通話とデータ通信機能のある簡易電話機にもなっており、スピーカーとマイク内蔵で、電話帳も蓄積できる。緊急時にはワンボタンで登録済みの番号に電話をかけ、携帯の電波が届かない場所では、ログデータを蓄積する機能なども備えている。システムインテグレーター向けには、ADK(アプリケーション開発キット)のセットも提供されている。
もちろん、無理に取り外せば、センターに警報が送られてしまうし、予め決めておいた仮想的な壁(バーチャル・フェンス)から出たり入ったりすると警報が送られる。現在は、登録済みのルートを通って仮釈放中の人物が自宅と職場を往復できるようにするジオ・ゾーン(Geo-Zone)機能を開発中とのことである。
子供用には米国ニュージャージー州のLok8u社が腕時計型の位置情報通知装置を北米、欧州のほかトルコ、チェコ、南アフリカで販売している。LaiPacも1999年以来、北米のほかUAE、ニュージーランド、バハマ、パラグアイなど世界80カ国に製品を出荷してきたとのこと。日本でも、特に子供用や老人用のGPS腕時計や防犯ブザー型のロケーターや、車載タイプや荷物につける位置情報装置は、通信キャリアや警備保障会社をはじめ各社が市場投入しているホットな分野である。
今後は行動許容範囲をエンドユーザが簡単に地図上で設定したり、親や医師の側から呼び出すことができる機能など、利用者にとって使いやすさが進化し、普及が進んでくれば、さらに価格が下がって普及が加速するのではないだろうか。ちなみにLaiPacのS-911は300ドル強程度で売られているようであるが、1年契約などで安くなるプランもあるようだ。
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