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スマートフォンをAACツールにする「Voice4u JP」がA3 2010-11 Winter大賞を受賞

2011.04.27

Updated by Asako Itagaki on April 27, 2011, 11:03 am JST

4月25日に発表された「Android Application Award 2010-11 Winter」(日経BP社主催)で、米国・スペクトラムビジョン社の「Voice4u JP」が大賞を受賞した。

▼Voice4u JP
android_nexus_one_JP.pngのサムネール画像

Voice4u JPは、自閉症など言葉を使って自分の考えを伝えることが難しい人が、絵を使ったコミュニケーションを、iPhone、iPod Touch、iPad、Android端末を利用してできるようにするためのAAC(拡大・代替コミュニケーション)ツール。現在、日本語と英語に対応している。

同社CEOである久保由美氏自身が自閉症の子供を持つ母親であり、「従来のツールは重くて持ち運びが不便だったり、高価な専用機器で使いにくかった」という自身の体験から起業し、ソフトウェア開発者やスピーチセラピストなど専門家の協力を得て製品化した。2009年末のリリース以来、現在世界29カ国で発売されている。

大賞を受賞した理由として、審査員の日本Androidの会会長 丸山不二夫氏は、「非常に狭いターゲットだが、逆にスマートフォンでなくては実現できないもの。切実にそれを求めている人のためのアプリであり、しかもそのニーズは実はグローバルなものである。これからのAndroidのアプリの広がりを考えると、本当にそれを必要な人に必要なものを届けることが、全てではないが一つの大きな柱になる」と述べ、「多くの人に広く受けいれられる」ものを目指すのとは違う「誰かにとって、なくてはならないもの」を作る大切さをアプリ開発者に伝えたいとした。

また、久保氏は、同社公式ブログで、「今回の受賞は、多くの自閉症そのほか、発達のおくれのある方たち、そのご家族、専門家の方々みんなで頂いた賞だと思います」「今後もさらに発達障害が皆さんに理解を得られて、住みやすい社会ができることを願って止みません」とコメントしている。

同社の受賞には、「薄利多売」ではないスマートフォンアプリビジネスの社会的意義と可能性を感じられる。今後の市場の動向に注目したい。

【参照情報】
日経BP社、「Android Application Award 2010-11 Winter」 受賞作品を発表(日経BP社 報道発表資料)
Voice4u JPが日経BP社主催Android Application Award 大賞を受賞(Voice4uブログ)
Voice4u JP(ボイス・フォー・ユー) (スペクトラムビジョン社公式サイト)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。