アップルの新型iPhone登場が徐々に近づくなかで、また新たな情報が流れてきている。

Reutersは米国時間23日、台湾の外部委託メーカー（ODM）関係者2人の話として、アップルが新興市場向けに投入を予定する「廉価版iPhone」の製造がすでに始まっていると報じた。それによると、この新しいiPhoneは現行モデル「iPhone 4」の低価格版で、韓国メーカーが製造する8GBのフラッシュメモリーが搭載され、「今後数週間以内」の発売が見込まれるという。なお、現行のiPhone 4は16GB版と32GB版の2タイプが販売されている。またアップルはフラッシュメモリーのサプライヤーとして、サムスン（Samsung）ならびに東芝の2社と取引関係がある。

アップルが、ハイエンド向けのiPhoneとは別に、新興市場向けにより価格を抑えたモデルを開発・投入するという話は、今年のはじめからWall Street Journal（WSJ）やBloombergなどで何度か報じられてきている。また、アップルのティム・クック（Tim Cook）COOが7月に行った決算発表のなかで、同社事業のなかでも成長著しい中国市場に言及し、「中国には信じられないほど大きな機会（ビジネスチャンス）があると思う」と語っていたこともあり、3Gサービス加入者が急増中の同市場などに向けて、手の届きやすい価格のモデルを投入するのではないかとの可能性があらためて注目を集めていた。

中国市場に関しては、最大手の携帯通信事業者チャイナ・モバイル（China Mobile）とアップルとが「TD-SCDMA版iPhoneについて協議」を進めているとの話が報じられてもいた。

Reutersでは、台湾ユアンタ証券（Yuanta Securities）アナリストのボニー・チャン（Bonnie Chang）氏の、「ハイエンドのフィーチャーフォンから、低〜中価格帯のスマートフォンへの乗り換えを考えている新興市場の携帯電話ユーザー向けに新モデルの投入を考えていてもおかしくはない。ただし、これらのスマートフォンは通常150〜200ドルで販売されているが、8GB版のiPhone 4が200ドル以下にはなりにくいと思われ、そのためアップルは新興市場向けに低スペックのまったく新しいモデルを用意する必要があるだろう」との見方が紹介されている。

これとは別に、すでにさまざまな可能性が語られてきている「iPhone 5」については、2つのODM企業 -- フォンハイ・プレシジョン（Hon Hai Precision：鴻海精密工業/ブランド名はフォクスコン=Foxconn） ならびにペガトロン（Pegatron/ASUSの子会社）に対し、9月末の投入（発売）を目標に生産を進めるようアップルから指示が出されているという。またこれらのメーカーでは最大で4500万台のiPhoneを生産できるだけのキャパシティを準備するように伝えられてもいるとReutersは記している。

なお、アップルのiPhone販売台数は、昨年10-12月期が1620万台、今年1-3月期が1865万台、同4-6月期が2034万台と、四半期ごとに増加を続けてきている。

【参照情報】
・Exclusive: Apple suppliers building cheaper, 8GB iPhone - Reuters
・Apple Building Cheaper 8GB iPhone 4, End of September Launch alongside iPhone 5 - MacRumors
・Apple reportedly to offer cheaper 8GB iPhone 4(S) alongside iPhone 5 - TNW
・Apple to release cheaper, 8GB iPhone 4 within weeks? - Engadget
・チャイナ・モバイル会長：「アップルのスティーブ・ジョブズCEOと、TD-SCDMA版iPhoneについて協議」
・「新型iPhone、発表は9月に」とBloomberg報道 - iPad 3投入の可能性も（編集担当メモ）
・アップル幹部、中国のプリペイド携帯市場を視野に [編集担当メモ]
・アップル、小型・廉価版iPhoneを今年夏にも公開か -「MobileMe」無料化も検討（WSJ報道）
・アップル、より小型な「廉価版iPhone」の投入を計画か - Bloomberg報道