10月7日、米カリフォルニア州のJerry Brown知事が「遠隔医療振興法(The Telehealth Advancement Act of 2011)」(AB415)に署名したことで、同州におけるテレヘルス(電気通信を使った医療サービス)の利用が加速されることになった。コスト削減、利便性向上、特に地方におけるヘルスケアの品質向上が期待されている。
▼CTEC California Telemedicine and eHealth Center
従来は遠隔医療を使った受診を始めるには、まず、最低限1回は実際に医療機関での受診や医師による往診が必要だった。また、患者から書面による合意(インフォームド・コンセント)を得なければ遠隔医療を開始することができない。AB415では、口頭による説明と合意で遠隔医療を始めることが可能になる。
また、これまで遠隔医療ではリアルタイムのデータ伝送のみが許されていたが、蓄積型の通信も認められる。つまり、電子メールやアーカイブなどの利用が可能となる。特に皮膚科や眼科が、非リアルタイム通信が許されたことの恩恵を受けるという。用語については、従来使われてきた「テレメディスン(Telemedicine)」の代わりに、より広い意味を持つ「テレヘルス(Telehealth)」を使うようになるとのこと。
アメリカでは携帯電話やスマートフォンを使った医療関連サービスが拡がりを見せており、最近(2011年第3四半期)のManhattan Research社による調査では、過去12ヶ月間にモバイルで医療情報にアクセス、あるいはモバイルを医療ツールに利用したことのある成人は26%に上るという。これは昨年の12%から倍以上増えている。主な用途は情報収集だが、処方薬の補給や通知サービスの利用者は3%から8%に増加している。
アメリカ最大の薬局チェーンの1つであるWalgreenは今年6月からSMS(ショートメッセージサービス)を使って処方薬の補充を患者に促すサービスや、薬局で薬の用意ができたことをSMSで通知するサービスを提供していて、利用者が200万人を超える成功を収めている。これまで実際の処方薬補充の注文は患者が薬局に出向く必要があったが、10月からはSMSで注文できるサービスも開始した。健康管理から診療、その後の投薬治療にいたるまで、アメリカでは電気通信、特にモバイルを活用した事例が広範に渡っていて、数も急増している。
【参照情報】
・New telehealth law eliminates need for in-person visits
・California Telehealth Legislation Signed by Governor Brown
・California Signs Telehealth Advancement Act
・New Law Will Help Rural Medical Patients
・More than One-Quarter of U.S. Adults Use their Mobile Phones for Health Information and Tools
・Now Walgreens customers can refill a prescription with a quick text
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