アーカンソー州、カンザス州、ミズーリ州、オクラホマ州に30病院、200の外来患者用設備を持ち、医師1,500名、従業員38,000名を擁する医療機関Mercyが、2年半後にミズーリ州Chesterfield付近に全米で初となる「仮想病院」(バーチャル・ケア・センター)を開設する。
9,000万ドル(1ドル=76.8円換算だと約69億1,200万円)を投じて作られる「仮想」ケアセンターは、実体を持つものの、遠隔治療関連技術を駆使して数百名の医師、看護師と、Mercyの持つ病院、診療所、さらには患者の家を結んで医療サービスを提供するようになる。この取り組みはリアルの病院を置き換えていくものと言うよりも、医療サービスを拡張するものと位置づけられている。
Mercyが現在行っている遠隔医療関係のプログラムは、バーチャル・ケア・センターに統合される。例えば現在、脳卒中の急患は、救急病院の当番医師だけでなく、24時間体制で待機している別のセンターの神経科医の診断も受けることができるようになっており、また、別の医師チームは4州に分散する10病院(400床以上)の集中治療室(ICU)を遠隔から常時監視しているが、これらも統合されていくという。このほか、遠隔の放射線科、病理診断、プライマリ・ケア(一次医療)サポート、オンコール(待機)看護師、遠隔疾患管理などのプログラムの導入が計画されている。
入院はしていないものの健康問題を抱える人の体重が急激に増えたら医療スタッフに通知される。マンモグラフィーの画像が離れた場所にいる医師に即座に送信される。異物が入って泣き叫ぶ幼児の耳に母親がオトスコープ(耳鏡)をあて、映像を遠隔地の医師と一緒に見て対処方法を教わることができる。MercyのCEOであるLynn Britton氏は、バーチャル・ケア・センターの遠隔医療についてこうした例を挙げている。
【参照情報】
・Nation's First Virtual Care Center<プレスリリース>
・Mercy to invest $4.6 billion across Missouri
・Mercy plans $290M expansion in Chesterfield, St. Charles County
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