サムスン（Samsung）が同社製スマートフォンのフラッグシップモデル「Galaxy S」最新機種の米市場への投入にあたり、従来のブランド戦略を変更して、「Galaxy S Ⅲ」で一本化することになったという。

サムスンはこれまで米国市場で「Galaxy S」シリーズの端末について、携帯通信事業者ごとに基本的に同じ製品にカスタマイズを施した上で、「Samsung Captivate」（AT&T向け）「Samsung Fascinate」（ベライゾン向け）「Samsung Epic 4G Touch」（スプリント向け）など異なるサブネームを付して提供していた。それに対し、同市場で競合するアップル（Apple）が同じ「iPhone」の名称で複数の通信キャリアに製品を供給してきたのは周知の通り。

携帯通信事業者としては、競合キャリアとの差別化という点で、同じ名称への一本化というのは歓迎すべき動きとは言い難い。実際、サムスンのある幹部はWSJに対し、「米国の通信事業者各社から同意を得るのは簡単なことではなかった」とコメントしている。また、AT&T限定でレッド（赤）モデルの投入予定も明らかにするなど、とくにマーケティング面で大きな力をもつ携帯通信事業者に対しての配慮は続けていくようだ。

5月はじめにロンドンで発表された「Galaxy S Ⅲ」は、通信事業者からの先行予約が世界全体で900万台に達したと報じられ、また欧州市場ではすでに先月末に発売されている。

いっぽう、米国では現地時間4日、5つの携帯通信事業者が今月中にも発売を開始すると発表した。同端末を発売するのは、AT&T、スプリント・ネクステル（Sprint Nextel）、ベライゾン・ワイアレス（Verizon Wireless）、T-モバイル（T-Mobile USA）、それにUSセルラー（U.S.Cellular）、それぞれのキャリアによって条件は多少異なるものの、16GB版が199ドル、32GB版が249ドル（いずれも2年契約）で販売されるという。

Galaxy S Ⅲは、大ヒットした「Galaxy S Ⅱ」の後継機種で、最新のAndroid OS（ver. 4.0）や自社製クァドコアの「Exynos」チップ（米国版はクアルコムの「Snapdragon S4」チップを採用）、4.8インチ（解像度1280☓720ピクセル）、8メガピクセルカメラなどを搭載し、LTEやHSPA＋ネットワーク、Bluetooth 4.0などに対応する。

いっぽう、同端末の発表に際して、従来のトレードショーを使わず、代わりに自社で発表イベントを開催したことや、アジアや欧州での投入時期と米国での投入時期のタイムラグが、1〜2か月に縮まっていることなど、アップル（Apple）のiPhoneを思わせるようなリリースとなっている。ちなみに、前モデル「Galaxy S II」の場合、最初に投入された韓国市場での発売が2011年4月、そして米国市場での発売は同年8月末となっていた。

なお、GigaOMによれば、サムスンは月間500万台ペースでの生産を進めるとしているものの、一部にはそれでも品不足になる可能性を指摘する声もあるという。

【参照情報】
・Samsung Unifies Its New Smartphone - WSJ
・One Samsung Galaxy S III to take on iPhone at 5 U.S. carriers - GigaOM
・Samsung Galaxy S III Release Dates, Pricing Revealed for Four Carriers - AllThingsD
・Samsung announces dual-core Galaxy S3 for five US carriers starting this month - 9to5 Google
・サムスン「Galaxy S III」、欧州で発売に - 「Music Hub」提供で「iTunes」追撃
・グーグル、今年秋にも複数の「Nexus」ブランド端末を同時発売の可能性（WSJ報道）
・サムスン、「Galaxy S III」発表 - 4.8インチ画面、4コア・プロセッサ、Android 4.0搭載