アップル（Apple）が米国時間22日、チャイナ・モバイル（China Mobile）による「iPhone 5s」「iPhone 5c」の取り扱い開始を正式に発表した。長く可能性が取りざたされてきた世界最大の携帯通信事業者でのiPhone販売がついに実現することになった。

[Apple Strikes iPhone Deal With China Mobile] - Bloomberg TV

チャイナ・モバイルに提供されるiPhone 2機種はいずれも4G（TD-LTE方式）と3G（TD-SCDMA方式）をサポートするもので、予約受け付け開始を今月25日に、発売を1月17日にそれぞれ予定。価格は後日発表となっている。

アップルのティム・クック（Tim Cook）CEOは声明のなかで、「アップルにとって中国はきわめて重要な市場であり、チャイナ・モバイルとの提携は世界最大の加入者を持つ通信事業者の顧客にiPhoneを提供する機会をもたらすもの」などと述べている。

あわせて約7億6000万人の加入者を擁するチャイナ・モバイルでは、今月18日に北京や上海など一部の大都市圏で4Gサービスの提供を開始しており、2014年末までに340を超える都市圏で同サービスの展開を予定している。同社ではこのために50万基以上の4G基地局を中国全土に設置する予定で、またすでに稼働中の基地局の数は2G、3G、4Gをあわせて120万基を上回るという。

この話題を採り上げたAllThingsDでは、各金融アナリストから出された販売台数見通しを紹介している。それによると、2014年にチャイナ・モバイルが販売するiPhoneの台数について、パイパー・ジャフレイ（Piper Jaffray）は最大1700万台、ISIのブライアン・マーシャル（Brian Marshall）氏は3900万台、カンター・フィッツジェラルド（Cantor Fitzgerald）のブライアン・ホワイト（Brian White）氏は2000万〜2400万台、ウェッジ・パートナー（Wedge Partners）のブライアン・ブレア（Brian Blair）氏が1800万〜2000万台をそれぞれ予測しているという。

それに対し、WSJでは初年度年間販売台数を1500万台とするサンフォード・バーンスタイン（Sanford C. Bernstein）アナリストのトニ・サコジーニ（Toni Sacconaghi）氏の推定を紹介。またBloombergでは、年間1200万台とするモルガン・スタンレー（Morgan Stanley）のケイティ・ヒューバート（Katy Huberty）氏の予測が引用されている。

Bloombergによると、iPhoneの販売台数は2012年が約1億5000万台。また今月半ばには、2014年（会計年度）の販売台数を1億7500万台とするコナコード・ジェニュイティ（Canacord Genuity）のマイケル・ウォークリー（Michael Walkley）の予想がCNETなどで採り上げられていた。

カウンターポイント・リサーチ（Counterpoint Research）が先ごろ発表していた10月の中国スマートフォン市場に関するレポートによると、同月の販売台数ランキングでは「iPhone 5s」が1位、「iPhone 5」が2位、「iPhone 5c」が4位に入っていたとAllThingsDは記している。これらはチャイナ・ユニコム（China Unicom）、チャイナ・ユニコム（China Telecom）経由で販売されたもの。

なお、アップルが同社の中国向けウェブサイトで販売している各製品の価格（携帯通信事業者による補助金なし）は、iPhone 5sの16GB版が5288元（約870ドル）、iPhone 5cの16GB版が4488元（約738ドル）。

【参照情報】
・China Mobile & Apple Bring iPhone to China Mobile's 4G & 3G Networks on January 17, 2014 - Apple
・Apple Strikes Long-Awaited Deal With China Mobile, With iPhone 5s and 5c to Hit Stores on January 17 - AllThingsD
・China Mobile to Begin Offering iPhone - WSJ
・Apple Reaches Deal to Sell IPhones Through China Mobile - Bloomberg
・Apple could sell 175M iPhones in fiscal 2014 -- analyst - CNET