今週はEU司法裁判所によるセーフハーバー無効判決についてと、TPPの影響についての記事が多数登場している。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。
法律・規制
今回のEU司法裁判所によるセーフハーバー協定の無効判決に対する、総括的な分析記事。短期的な対応策はあるが、長期的には不透明な部分も大きいという。
EU米国間のセーフハーバー無効の判決、米国企業の今後はセーフハーバー改訂作業の成り行き次第
CJEU decision in Schrems: what businesses should do next
EU司法裁判所が欧米間のセーフハーバーは無効だと判断したことにより、EUでサービスを提供する米国企業は対応を迫られる。判決以前に移転されたデータの扱いについては明らかになっていないが、今後はセーフハーバーの元に行っていたデータ移転は無効となる。判決以前から欧米間でセーフハーバーの改訂作業が行われているが、その結論がでるまで米国企業はEU内ではEUモデル規則に従うことでビジネスを継続できる見込み。しかし、こうした対応策にさらなっるネガティブなアクションがある可能性は否定できない。
米商務省プリツカー長官によるセーフハーバー無効判決についての声明。失望を表明しつつも、改訂作業のスピードアップによって影響を最小化するとのこと。
ニュージーランドのプライバシーコミッショナーによるブログ。EUによる十分性認定は、ニュージーランドの電子商取引ビジネスにとって大きなアドバンテージとなっていた。
セーフハーバー無効判決の影響でニュージーランドの十分性認定が再検討の可能性も
EU Safe Harbour decision could impact on NZ
ニュージーランドはEUによるプライバシーの十分性認定を受けている5カ国のひとつ。しかし、スノーデン事件の影響により欧州議会では度々、ニュージーランドの認定について問題にされてきている。これまで、欧州議会はニュージーランドの十分性について再検討してこなかったが、セーフハーバー無効判決によって改めて検討される可能性がある。
国際的な法律事務所ジョーンズ・デイによるセーフハーバー無効判決についての解説文。おもに国際的な企業に向けて注意を促すメッセージとなっている。
プライバシー保護規制は裁判所の判決次第で急変する、国際企業は重要な経営課題とすべき
EU-U.S. Data Protection Safe Harbor: Not Safe Anymore
オーストラリアの法律専攻学生Schrems氏による訴訟が契機となったセーフハーバー無効判決は、裁判所の判決によってデータ保護政策が急激に変化することを示した。セーフハーバーは欧米間で以前から改訂作業中だったが、今回の判決によって米国企業はEU市民のデータ保護を強化することが必須となるだろう。そして、国際的企業がデータ保護とサイバーセキュリティは経営陣の重要議題にすべきだという警鐘となっている。
米国政府の情報技術政策をウォッチするメディアによる、TPPの影響分析。
TPPはデータ保護主義が排除が狙い、プライバシーと著作権の面からインターネットに重大な影響
Trans-Pacific Partnership will ban data localization laws
TPPでは、各国が自国民のデータを国内に保管するよう要求する「データ保護主義」の排除が狙いのひとつになっている。マレーシアとベトナムではデータ保護主義を狙った法律が施行されており、プライバシーの観点からはTPPが同法にどのような影響を与えるか注視する必要がある。TPPの交渉が秘密主義で進められたこと自体に反発する人々も多く、強力な著作権保護条項とともにインターネットに重大な影響を与える可能性がある。
カナダのCBCによる、TPPによるデータ保護の排除と著作権の強化について懸念を示す記事。
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