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EUと米国、個人情報保護に関する新協定に合意 - 交渉決裂をひとまず回避
2016.02.03
Updated by WirelessWire News編集部 on February 3, 2016, 12:47 pm JST
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2016.02.03
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EU加盟国の国民のプライバシー保護に関して、EUと米国の規制当局が新たな枠組みの策定に向けて協議を続けていた問題で、米国側がEUに譲歩したことが欧州時間2日に明らかになった。
欧州委員会(European Commission、EC)が明らかにしたところによると、今回EUと米国が合意した「EU-US Privacy Shield」という新たな枠組みは主に欧州で事業を展開する米国企業による顧客やユーザーのデータの取り扱いに関するもの。両者間では従来「Safe Harbor」と呼ばれる枠組みが使われていたが、一昨年に米国家安全保障局(NSA)が行っていた広汎なデータ収集活動の実態などが明らかになったことなどを背景に、昨年10月には欧州司法裁判所で「Safe Harbor」を無効とする判断が下され、同時に1月末までに新しい枠組みに合意することが求められていた。
両者の交渉がまとまらなかった場合、グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)をはじめとする米大手ウェブ企業などの事業に大きな影響が出る可能性があった。
従来の「Safe Harbor」の枠組みでは、米国企業がEUの規準に沿ったプライバシー関連ルールを適用するとの前提で、ユーザーの個人情報を欧州から米国に移動することが認められていた。
ECの声明によると、今回双方が合意した「Privacy Sheild」のなかには、米国企業に対して欧州ユーザーの個人情報の米国への移動を認める条件として、米国の規準よりも厳格な個人情報の取り扱いが求められ、たとえば米国内のサーバーに保存された欧州ユーザーの個人情報を米国政府による監視活動の対象外とすることや、米国側にオンブスマンを新設し、欧州ユーザーからのプライバシー流出に関する申し立てに対応することなども盛り込まれているという。
今回合意された協定は今後、EU加盟28か国でそれぞれ承認を得る必要があり、また詳細についてもさらに細かい取り決めが必要とされている。また同協定の内容を手ぬるいとするプライバシー保護団体の声なども上がっており、場合によっては訴訟に発展する可能性もあると、この話題に触れたNYTimesは指摘している。
【参照情報】
・EU Commission and United States agree on new framework for transatlantic data flows: EU-US Privacy Shield - European Commission
・U.S. and Europe in ‘Safe Harbor’ Data Deal, but Legal Fight May Await - NYTimes
・U.S., EU Reach Deal on New Data-Transfer Framework - WSJ
・U.S., European Union Race to Meet Deadline on Safe-Harbor Data Pact - WSJ
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