米フェイスブック（Facebook）が「Telecom Infra Project（TIP）」という新たなオープンソースプロジェクトの立ち上げを、バルセロナで現地時間22日に始まる「Mobile World Congress」の開催に合わせて発表した。ドイツテレコム（Deutsche Telekom）、ノキア（Nokia）、インテル（Intel）など約30社が同プロジェクトへの参加を表明しているという。

フェイスブックは2011年に「Open Compute Project（OCP）」というデータセンター関連のオープンソース・プロジェクトを開始している。Fortuneなどによると、今回発表された「TIP」は「OCP」の携帯通信版といえるもので、ハードウェアとソフトウェアの双方について参加各社が情報を共有することで、携帯通信網の構築にかかる時間の短縮やコストの抑制などにつなげたい考えとされている。

同プロジェクトの参加メンバーについては、上述のドイツテレコムのほか、英BT傘下の携帯通信事業者EE、韓国のSKテレコム（SK Telecom）、フィリピンのグローブ・テレコム（Globe Telecom）などの携帯通信事業者、それに米エクイニクス（Equinix）のようなデータセンター事業者の名前もみられる。いっぽう、通信関連機器大手のシスコシステムズ（Cisco Systems）、エリクソン（Ericsson）、ファーウェイ（Huawei）、ジュニパーネットワークス（Juniper Networks）はいまのところ参加していない。

なお、フェイスブックは現在グローブ・テレコムと協力しながら、フィリピン国内でTIP関連のパイロットプロジェクトを実施しているという。

この話題を採り上げたWSJでは、TIPを立ち上げたフェイスブックの思惑について、携帯通信事業者からのタダ乗り批判を回避する狙いがあると指摘し、フェイスブックの「Messenger」や同社傘下のワッツアップ（WhatsUp）が提供する無料メッセージングサービスの普及により、携帯通信事業者の売上に影響が出ていることに触れている。また動画トラフィックの増加に伴って、「フェイスブックと通信事業者の双方が、互いを必要とすることに気づいたのだと思う」というラジーブ・スリ（Rajeev Suri）ノキアCEOのコメントも紹介されている。なお、WSJによると米国では昨年12月にフェイスブック・ユーザーによる動画視聴が携帯通信トラフィック全体の16％を占め、YouTubeの20％に迫るところまで増加していたという（調査会社サンドバイン（Sandvine）のデータ）。

いっぽう、FortuneではTIPの取り組みを通じて携帯通信機器などのモジュラー化が進めば、同分野でのコモディティ化がさらに加速する可能性もあると指摘している。

【参照情報】
・Facebook's Huge Plan to Shake Up Dull World of Telecoms - Fortune
・Facebook starts Telecom Infra Project with Intel, Nokia, Deutsche Telekom, EE, Equinix, Globe, HCL, others - VentureBeat
・Facebook Seeks to Ease Tensions With Telecoms With Cellular-Network Project - WSJ