日本の「デジタル工房」から世界の人材を活用したDXソリューションを、DXCテクノロジー・ジャパン西川社長
2018.12.14
Updated by Naohisa Iwamoto on December 14, 2018, 06:25 am JST
2018.12.14
Updated by Naohisa Iwamoto on December 14, 2018, 06:25 am JST
「デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現には、DXCのグローバルデリバリーネットワークを活用してほしい」。こう語るのは、DXCテクノロジー・ジャパン カントリーマネージングダイレクターの西川望氏である。同社は、独立系IT企業としてエンドツーエンドのITソリューションを提供する米DXC Technologyの事業を日本で推進する。DXC Technologyは、2017年4月にComputer Sciences Corporation(CSC)とヒューレット・パッカード・エンタープライズ・サービス(HPEのITサービス部門)が合併して設立された。日本では日本エンタープライズサービスとCSCジャパンが合併し、DXCテクノロジー・ジャパンとしてビジネスを展開している。
▼DXCテクノロジー・ジャパン カントリーマネージングダイレクターの西川望氏
DXCが活用を呼びかけるグローバルデリバリーネットワークとは、一般にオフショアと呼ばれる海外の開発リソースを活用できる同社のネットワークを指す。ただし、西川氏は「オフショアというと海外の安いコストで開発するイメージがあるが、DXCのグローバルデリバリーネットワークはさまざまな能力を持つスペシャリストが国際的にネットワーキングされている。コスト削減ではなく、迅速で効率的な価値の実現に利用してもらえる」という。
DXCのソリューション開発には、4つの原則があるという。DXC Technologyのアジア地域担当Vice President&General Managerのカウシック・ラッドハクリシュナン氏は、「1つは実用最低限の製品である「MVP」(Minimum Viable Product)を短期間に作ること、2つ目はオペレーションの高速化、3つ目はベンダーやパートナー、顧客の区別なく一緒に開発するコロケートの実現、4つ目はシステム構成からユーザーインタフェースまでのシンプル性の確保--である。こうした原則のもとで、デジタルトランスフォーメーションの実現を支援している」。DXCはアジア地域でも6万人を超える従業員を抱え、インドやベトナム、フィリピンなどの開発拠点には日本語をはじめとするアジアの各国語を話せる開発人材がいると説明する。
▼DXC Technologyのアジア地域のビジネス概要を説明する同社Vice President&General Managerのカウシック・ラッドハクリシュナン氏
グローバルデリバリーネットワークでは、こうした複数の開発拠点のリソースを活用して、IoTなどを活用したデジタルソリューションを提供していく。その具現化のために、DXCテクノロジー・ジャパンでは、2018年7月に移転した京橋本社内に新しく「デジタル工房」を設置し、12月に稼働を開始した。DXCは海外拠点にデジタルトランスフォーメーションセンターやデジタルイノベーションラボといった施設をもち、顧客とDXCのスタッフ、パートナーなどが一緒にアイデアを具現化するための共同作業を行えるようにしている。日本のデジタル工房も同様の設備で、各種のIoTデバイスやドローン、スマートスピーカーなどのツールや関係書籍などが用意され、デジタルトランスフォーメーションのためのアイデアの醸成に利用できる。
西川氏は「日本ではあえて“デジタル工房”という名称をつけた。工房という響きには、職人がいて何かを作り出すイメージが含まれる。DXCのデジタル工房も、単なる実験設備ではなく、ビジネスにきちんと効果のあるソリューションを作り出す場所という意味を強く感じてもらうために、工房の名をつけた」と語る。
▼DXCテクノロジー・ジャパン京橋本社内に開設した「デジタル工房」
デジタル工房からは、海外のグローバルデリバリーネットワークとも相互に接続してアジャイル開発が行えるというわけだ。シンプルでミニマムなMVPでソリューションを世界の知恵を用いたアジャイル開発によって生み出して、早い回転で検証を行う。デジタル工房という顧客が実際のアジャイル開発に参加できる場を提供することで、最小限かつ高速な開発、検証が効果的に進めらる。デジタルトランスフォーメーションの成功に必要な要素が、DXCのデジタル工房には凝縮されているようだ。
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。