米国には150万人の"魔女"が存在する!? VRを使いこなすミレニアル・ウィッチ
2019.08.02
Updated by Ryo Shimizu on August 2, 2019, 11:41 am JST
2019.08.02
Updated by Ryo Shimizu on August 2, 2019, 11:41 am JST
ロサンゼルス出張の折、南カリフォルニア大学に留学中のVR研究家、円香さんから面白いお話しを伺った。
今、全米には150万人の魔女、ペイガンがおり、新しい世代の魔女たちは「ミレニアル・ウィッチ」と呼ばれているのだという。
これは一体どういうことなのか。
円香さんはVR研究者という側面を持ちながら、同時に魔術占術研究者としても活動している。そして自らも自己参入して魔女となり、魔女カヴンで魔術を学び、毎回サバトに参加するほどの熱心な実践家であるという。
ミレニアル・ウィッチと呼ばれる人たちは、どのようにして生まれたのか。
イギリスでは、第二次大戦後も長い間、魔女や魔術を裁くアンチウィッチクラフト法が施行されていた(Witchcraft Act 1735)が、1951年に新たに詐欺的媒体法が成立するとともに魔女を裁く法律がなくなった。その時期、ジェラルドガードナーという人物によって書かれた“今日のウィッチクラフト”(1954)はフィクションの書物として世に出る。この本に触発され、それまで息を潜めていた異教主義者たちが次々と声を上げ、ウィッカと呼ばれる新興宗教が誕生した。そして、1960年代になり現代魔女宗がアメリカに渡ると、フェミニズム運動とヒッピー文化と合流して、一大ムーブメントとなったそうだ。
アメリカは政教分離を宣言しているとはいえ、依然としてキリスト教国であり、アメリカ合衆国大統領は聖書に向かって宣誓する。
従って、そもそも「女神」を信仰する魔女(witchcraft)ムーブメントはそれ自体が(キリスト教およびその他のアブラハムの宗教から見て)異端であり、カウンターカルチャーであった。
近年これがファッションの世界でも注目されている。
例えば、Dior2018年のコレクションにはMotherpeace Tarotのモチーフが使われ、Gucci Cruise 2019の演出には明らかに西海岸の現代魔女宗周辺の雰囲気からの影響がうかがえる。
出典:https://www.gucci.com/us/en/st/stories/runway/article/cruise-2019-video
北アメリカにおける魔女ムーブメントは一種の新興宗教と捉えられており、ロサンゼルスでは満月の夜になると一つのカヴン(魔女たちのグループ)の儀式で30~50人の魔女が集結する習慣があるという。
この「魔女」として活動するためには、独特の宗教的儀式による自己参入を行う必要があるが、カヴンに属している魔女だけでなく特定のカヴンに属さず活動するソロ魔女と呼ばれる魔女たちも多くいる。
儀式などを撮影することを拒む従来の魔女達とは異なり、インスタグラムやインターネット上で魔女を表現する人たちがここ数年で現れはじめた。彼女たちは新しい世代の魔女ミレニアルウィッチと呼ばれている。
ミレニアルウィッチたちの多くはおそらくソロ魔女と考えられている。
魔女たちは占い師だけでなく、インスタグラマーや著者、セラピスト、音楽家、アーティスト、様々な別の顔を持って活動しているそうだ。
またロサンゼルスにはスキッド・ロウというスラム街があり、その外縁部に設立されたアートディストリクトに位置するWisdome LAというImmersiveVR施設には、天球型のドームにプロジェクションマッピングやVR技術、瞑想を補助する機材、サイケデリックアートなどが展示され、クリスタルボールを使用したサウンドバスなどが頻繁に開催されており、おしゃれな若者、カップルや精神世界に関心のある者同士の交流場としての機能を果たしているとのこと。ここでも西海岸に染み渡った魔女のに見えないネットワークを感じることができる。この施設で展示されている「SAMSKARA」はまさに人種のるつぼの中で生まれたテクノロジーによる女神信仰なのだ。
円香さん自身もARのタロットアプリを開発したりしている他、VRやARと魔女、魔術といったものの関係性がどんどん深くなっているというのが興味深い
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=tcOYCVivGZc&w=560&h=315]
八百万の神が当たり前の日本人からすると、女神信仰というのはそれほど異常なことのように思えないのだが、北アメリカにおいてはカウンターカルチャーとして成立しているそうだ。
たしかに、「millennial witch」で検索すると、ファッション雑誌のコスモポリタンの記事がヒットする。
円香さんは10月26日に都内で文化人類学者の先生を招聘して「未来魔女会議」という魔女イベントを企画しているそうなので、彼女の動向に注目されたし
円香さんのWebはこちら →MADOKA'S PORTFOLIO
Twitter:@kamadooma
円香さんの主宰する西洋東洋両方の視点から魔術、占術を研究するグループ
Twitter:@MIDORIUSHI666
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登録はこちら新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。