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メタバースで無双したければ遠慮なく理想的な外見のアバターを選ぶべき

2024.03.14

Updated by WirelessWire News編集部 on March 14, 2024, 07:12 am JST

背の高い人が堂々としている理由を調べる

背の高い人は堂々としているなぁと思ったことはありませんか? 私はあります。女性としては背の高い方(167cm)なのですが、たまに自分より背の高い女性と出会うと「うわ、堂々としている」と思い、圧迫感を覚えて気持ちがしゅんと小さくなってしまいます。もしかすると、ふだん私を相手にしゅんとしている人もたくさんいるのかもしれません。

さて、背が高い人は堂々としているとしましょう。それなら、「背が高い『から』堂々とした行動をとるのだ」と結論付けても良いでしょうか?

答えはNOです。

例えば、年収が高い人ほど血圧が高いことが知られていますが、この関係の理由はなんだと思いますか? 年収の高い人は豪華な食事をとるので血圧が高いのでしょうか。いつも大変な仕事をしていて血圧が高くなっている人ほど年収が上がるのでしょうか。実はそのいずれも間違いで、年収と血圧の関係の背景には、「年齢」という要因が隠れているのです。年齢が高い方が年収が高く、同時に、年齢が高いほど血圧が高いわけですね。謎解きされてみると、なぁんだと拍子抜けされたのではないでしょうか。

年収と血圧の関係と同様に、背が高い人が堂々としているとしても、背の高さという要因が直接その人の振る舞いに影響しているかどうかはわかりません。何か他の要因が影響して、無関係なところに関係があるように見えているのかもしれません。そういう影響を排除して、本当に背の高さと堂々とした振る舞いとに関係があるかを調べるには、どうすれば良いでしょうか。

もし、それぞれの人の背の高さを変えることができたとしたら、背の高い場合に人はどう振る舞い、背の低い場合にはどう振る舞うかを比較することができます。では早速、身長を180cmにされたときと150cmにされたときで、行動がどう変わるか比較して、身長の効果を調べましょう! 素晴らしい実験プランです。ただし、人間の背の高さを変化させるのは通常不可能だという点を除けば。

ところが、これを可能にする技術があります。VR、つまりヴァーチャルリアリティを使って、その人の使うアバターの背を高く、あるいは低くしてやれば、背が高いときに人がどう振る舞い、背が低いときにはどう振る舞うかを調べることができますよね。肉体による影響を、非肉体環境で調べる。私なんかはこういうところに大変なワクワクを感じるのですが、ともあれ、実際にこれを調べた研究を見てみましょう。

背が高くなると強気になる

スタンフォード大学のイー氏らは、背の高いアバターと背の低いアバターを使い、自分の背が高い(あるいは低い)と感じさせられたときのふるまいを調べました。まず、参加者と実験協力者に、ヴァーチャルリアリティの世界に入ってもらいます。このとき、参加者は実験協力者のアバターより10cm高くて相手を見下ろすような視線になるアバターか、実験協力者のアバターより10cm低くて相手を見上げるような視線になるアバターか、そのいずれかを使いました。なお、参加者には相手の実験協力者は自分と同じように集められたただの参加者だと信じさせています。

その状態で、参加者と実験協力者には100ドル(約1万4千円)が渡されます。第1試行では、参加者はこの金額を実験協力者(=他の参加者)との間で自由に分けていいと言われます。全額自分のものにしてもいいし、全額相手にあげてもいい。ただし、相手がその分配額を聞いて、NOと言ったら二人とも何ももらえません。さああなたならどうしますか?

背の高い人ほど多くを自分に分配したのでしょうか? 実は、第1試行では、背の高さは分配額に影響していませんでした。背の高い条件では平均54%を、背の低い条件では平均55%を自分に多く分けていて、差はなかったのです。

第2試行、今度は実験協力者が100ドルを分ける番です。ここで実験協力者は50%ずつ分けることを選びました。そして第3試行、再び参加者が100ドルを分ける順がやってきます。背の高さの影響が出たのはこのときでした。背の高いアバターを使った参加者は平均61%を自分に、背の低いアバターを使った参加者は平均52%を自分に多く分配したのです。背の高い参加者が、ちょっと強気に出てきたのがわかります。

そして最終試行、実験協力者が75ドルを自分に、25ドルを参加者に分けるという宣言をしました。背の低いアバターを使った参加者の72%がこれを受け入れたのに対し、背の高いアバターを使った参加者で受け入れたのは38%だけで、残りは分配を拒否していました。なんと、使用しているアバターの背が高いというだけで、相手の不公平な扱いに反発するようになったというのです。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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