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ゼルダとジブリが若者の幸福感を高める? 最新研究が明らかに

ゼルダとジブリが若者の幸福感を高める? 最新研究が明らかに

New research reveals that Zelda and Ghibli increase young people's happiness

Updated by 中村 航 on September 25, 2025, 06:30 am JST

中村 航 wataru_nakamura

1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。

若者の不安や抑うつが社会問題となる中、身近な娯楽が心の健康に寄与する可能性を示す研究が発表された。学術誌「JMIR Serious Games」に掲載された新たな論文によれば、任天堂の人気ゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のようなオープンワールドゲームや、スタジオジブリ作品によるノスタルジックな体験が、若者の人生全体の幸福感を高める効果を持つことが分かった。

研究チームは大学院生518人を対象に、ゲームを実際にプレイする群としない群、さらにジブリ映画でノスタルジアを喚起する群とそうでない群を組み合わせた実験を行った。その結果、ゲームをプレイした参加者は、プレイしなかった人に比べて人生全体の幸福度が有意に高いと報告。特に、ジブリ映画を観てノスタルジアを感じた場合、その効果は一層強まった。

分析の結果、ゲームが幸福感を高める過程には「探検の感覚」「静けさ」「習熟感」「目的や意味の実感」といった要素が媒介していることが確認された。なかでも「静けさ」と「目的意識」の要素が大きく寄与していたという。研究者は論文の考察で、オープンワールドゲームやノスタルジアを喚起する作品が、単なる娯楽を超えて、若者の精神的な回復や人生の意味づけに貢献する可能性を指摘している。

もっとも、対象が大学院生に限られていたことや、短期的な実験であったことから、効果の持続性や他世代への一般化は今後の課題とされる。それでも、こうした知見は娯楽を取り入れたメンタルヘルス支援の可能性を広げるものといえる。

参照
Effects of The Legend of Zelda: Breath of the Wild and Studio Ghibli Films on Young People’s Sense of Exploration, Calm, Mastery and Skill, Purpose and Meaning, and Overall Happiness in Life: Exploratory Randomized Controlled Study – PMC

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