ブロックチェーン (読み)ぶろっくちぇーん
一言でいうと追記できるが書き換えはできない(ハッキング不能といわれる)分散型データベース。すべてオープンでトレース可能なので取引台帳として使えば誰でもその内容をチェックできるという画期的な仕組み。
2019.03.22
「仮想通貨(暗号通貨)といえばブロックチェーン、ブロックチェーンといえば仮想通貨(暗号通貨)」みたいな方向に話が行きがちだが、これは「仮想通貨(暗号通貨)はブロックチェーン技術にとってのキラーコンテンツ(の一つ)である」というような関係。仮想通貨というといわゆる電子マネーとかポイントカードのように「交換価値を持つ何か」のように捉えたくなるが、ブロックチェーン技術を決済システムとして使う場合のわかりやすいメタファーとして「通貨」という言葉が使われているだけ、と考えたほうがいい。日本では仮想通貨のほうが通りがいいが、暗号通貨と呼ぶほうがいい。システムの根幹部分で暗号(正確には公開暗号鍵)が使われているからだ。
と、ここで正確な技術的説明をしたいところだが、手に余る。非常に面白そうな技術だし、本格的に通貨として使い物になる(短期的にではなく)のであれば画期的だと思う。それこそ「ノーベル賞級のスゴイ発明」かもしれない。が、残念ながら、この仕組を動かし続けるためには、常に決済・取引の正確性を検証しなくてはならないのだが、そのために恐ろしいほどのリソース、それも電力というリアルリソースを食う。この「決済の正確性を検証する作業(ご褒美として通貨がもらえるのでマイニングと呼ばれるがこれも比喩にすぎない)」にかかる電気代は、このまま行くと地球上の発電量の相当の部分を消費することになりかねないと言われている(現時点ですでに全世界の使用電力の0.1%を超しているという試算もある)。
となれば発熱量も相当のもんだろう。気候変動(旧・地球温暖化)に対する影響もバカにできないかもしれない、まぁそれはおいても全世界の使用電力の0.1%を消費するとなると、それだけでブロックチェーン技術の面白さが消し飛びかねない。早めに暗号通貨以外の利用方法を普及させられるかどうかがこの技術が定着するかどうかの分かれ目になるだろう。
アントノプロス,アンドレアス・M.【著】/ 今井 崇也/ 鳩貝 淳一郎【訳】
NTT出版 (2016/07)
|3,700円(本体)
|B5判
|301p
|9784757103672
▼これがほぼ「定番」のようです。で、同じ出版社から「コンサイス版」と銘打った廉価本も出ていますが、この本をうんと圧縮して技術的な説明を省いてどちらかといえば文系の人に読みやすくしたもののようです。通販サイトによっては一部中身も読めるようです。