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米ビシームが株式公開申請--「コンボチップ」への期待背景に

2010.04.09

Updated by WirelessWire News編集部 on April 9, 2010, 09:59 am JST

Beceem Communications
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モバイルブロードバンド通信用のチップを開発する米ビシーム・コミュニケーションズ(Beceem Communications:以下、ビシーム)が、米証券取引委員会(SEC)に株式公開の書類を提出。目標調達額は1億ドルで、これが実現すればナスダック(Nasdaq)へ上場、ティッカーシンボルは「BECM」になる予定という。

同社は米インテル(Intel)から出資(20.3%)を受けており、通信キャリアの主要顧客は米クリアワイアー(Clearwire)。インテルはクリアワイアーの株主でもある。ビシームはWiMAX陣営(インテル陣営)で最大級のチップメーカーだが、2003年の創業以来赤字が続き、2009年は4400万ドルの売上に対して1700万ドルの損失を計上している。ただし、現在は売上が急増中とのことである。

ビシームが期待を集めているのは、LTEとWiMAXの両方に対応する「コンボチップ」を2010年2月に発表しているからだ。同社のマルチモードチップ「BCS500」は、IEEE 802.16の最新版(16eと16m)と、3GPPのLTE標準(Release 8)をサポートしている。このチップはLTEのUE class4対応で、LTE並びにIEEE 802.16mの双方のFDD(周波数分割複信)およびTDD(時分割複信)の両方に対応し、ネットワークの種別を自動的に検出して、周波数・チャネルをリアルタイムに設定する「オートセンス」機能を端末に持たせることができる。そのため、このチップを搭載する端末はシームレスに複数のネットワークを渡り歩くことができるようになるという。

ちなみに加ウェイブサット(Wavesat)の「Odyssey 9010」といいチップも、LTE 3GPP Release 8 (FDDとTDD両方)とWiMAXのIEEE 802.16e Wave 2(UQコミュニケーションズが採用している方式)を1チップでサポートしている。

チップセットがWiMAXとLTE、FDDとTDDをサポートすれば、その分だけコストは上がるだろうが、二者択一でなく両方ともサポートするほうが量産効果が出て、市場を押さえることができるということなのかも知れない。

【参照情報】
Beceem files for $100M IPO(FierceWireless)
LTE Or WiMAX? How About Both?(Mobile Dev&Design)
Beceem's BCS500 4G modem splices WiMAX and LTE into one chip, sampling later this year (Engadget.com)

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