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モバイル端末用ソフトウェアに照準 - インテルの今後の買収戦略

2010.04.23

Updated by WirelessWire News編集部 on April 23, 2010, 11:19 am JST

米インテル(Intel)の投資戦略は単純明快で、人々により強力なプロセッサを求める気持ちを抱かせ続けるために「CPUパワーをより多く使うアプリケーションやサービス」をつくっている会社か、あるいは自社でのチップ生産効率を上げるために、生産工程を革新する製造技術を持つ会社のいづれかを買収する、というものだ。

実際、2008年には英オープンド・ハンド(OpenedHand)というモバイル機器向けのLinux開発ベンダーを、2009年には組み込みOS大手の米ウィンド・リバー(Wind River)などを買収してきている。

インテルが先ごろ発表した2010年1-3月期の業績は、ノートPCの需要増などから売上高が過去最高の103億ドル($10.3bln:前年同期比44%増)を記録するなど至って好調。また同期末時点の現金(流動性資金)も163億ドルと潤沢にある。そして、こうした流れを背景に同社は今後「モバイル機器向けのソフトウェア開発会社」の買収を進めていく意向であることを、同社CFOのステイシー・スミス(Stacy Smith)氏がブルームバーグ(Bloomberg)とのインタビューのなかで明らかにした。

インテルは、携帯端末やその他のモバイル機器分野で英ARMと米クアルコム(Qualcomm)に先行を許してしまっており、スマートフォンや家電製品に自社製プロセッサの搭載を促すことを通じて2社への追撃を図りたいところ。

インテルは自社のAtomプロセッサに対応する「Moblin」というLinuxの開発に2007年に着手したが、ネットブックやモバイル・インターネット・デバイス(MID)分野で覇権を握ることはできていない。そこで同社はこの「Moblin」を、ノキア(Nokia)のオープンソースプラットフォーム「Maemo」とマージし、新たに「MeeGo」として再起を図ろうとしている。

iPhoneやAndroidが先行するスマートフォン市場で、AtomとMeeGoの組み合わせが一定のシェアを獲得できるのか。あるいは、スマートフォンとは似て非なる別の何かを生み出す目算がインテルにはあるのか。インテルの今後の方向性を知る上でも、同社がどんな企業を買収するかは注目を集める話題となりそうだ。

【参照情報】
Intel Looking for Acquisitions in Push Beyond PCs (Bloomberg)
Intel beats analysts' results estimates (FT.com)
Intel wants mobile software acquisitions (Rethink Wireless)

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