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LTE商用サービスで先行する北欧の通信事業者テリアソネラの「苛立ち」

2010.05.19

Updated by WirelessWire News編集部 on May 19, 2010, 11:13 am JST

5月18、19日にオランダのアムステルダムで「LTE World Summit 2010」というカンファレンスが開催されているが、このなかで講演した北欧の通信事業者テリアソネラ(TeliaSonera)の幹部が、現在各国でLTEトライアルを行っている携帯通信事業者に対し、「トライアルはもうやめて、すぐに商用サービスを始めよう("Just do it!")」と呼びかけたと、Light Readingの記事が伝えている。

TeliaSonera
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テリアソネラは、昨年12月にスウェーデンのストックホルムとノルウェーのオスロで世界初の商用LTEサービスを開始したが、2G、3GとのマルチモードのないLTE専用の端末(韓国サムスン製のUSBドングル)しかないこの「商用」サービスにはいまだに数千人の加入者しか集められておらず、そのことへの苛立ちを示しているようだ。

テリアソネラのトミー・ユングレン(Tommy Ljunggren)氏は講演のなかで、同社は昨年時点ですでに周波数帯を保有しており、利用者が無線ブロードバンドを求めていたからトライアルを飛び越して商用サービスを開始したと述べた。つまり、同社のLTE商用サービスは、W-CDMAからの自然な高度化ということではなく、ワイヤレスのブロードバンドニーズに応えることを主な目的として始められたものだった。なお、同社のLTEサービスは、しばらくはデータ通信用途に限定され、対応する停滞携帯電話機の投入計画はないという。

商用サービスを提供するオペレータの数が増えれば増えるほど、基地局その他の設備も端末機器も洗練されて品質が向上し、量産や経験曲線で価格が下がる。テリアソネラも近日中に2G、3Gとのマルチモード版ドングルを提供する計画のようだが、この新端末の原価が高いなどの問題が、ユングレン氏の呼びかけの背景にあると推測される。

欧州では、3Gの展開に際して、各国の通信事業者が周波数帯のオークションで大金を投じた結果、資金的に疲弊し、そのために設備投資が遅れたことから、日本のNTTドコモに大きく水を開けられたという経緯がある。だが、それでも数年遅れで着実に利用者を増やしており、現在ではグローバル市場と比較してもさまざまな端末機種が利用可能になっている。FOMAでは、初期にはカバレッジの狭さや、屋内で使えないこと、端末の機種が少ないことなどが利用者の大きな不満となっていたが、10年後のいまから始めるLTEでは、当初から3Gとのデュアルモードが前提になるなど、FOMAで学んだ教訓が活かされるようだ。

テリアソネラの呼びかけに応じて即座にLTEトライアルを商用に切り替える通信事業者は現れないかも知れないが、GSA(Global Mobile Suppliers Association)のレポートによると、2010年末までに世界で22のLTE商用サービスが開始される予定だという。

なお、このLight Readingの記事のなかでは、NTTドコモの研究開発推進部長、尾上誠蔵氏が、2001年ごろFOMAで世界に先駆けて3Gサービスを開始したことに触れ、「先頭を走ることはそれほどよいことではなかった。LTEについては、先頭グループの中の1社でいたい」と語ったとも報じられている。

【参照情報】
TeliaSonera on LTE: Just Do It! (Light Reading)

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