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シスコシステムズが真剣に取り組む「リアルSimCity」開発

2010.06.04

Updated by WirelessWire News編集部 on June 4, 2010, 12:19 pm JST

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(cc) Image by Connie

米シスコシステムズ(Cisco Systems:以下、シスコ)が、韓国のリゾート地で「街づくり」に参加している。

韓国の仁川市延寿区にある松島(ソンド)地区というリゾートは、ホテルや遊園地、飲食店街があり、日本人観光客も多く訪れる場所だそうだが、そこに2020年完成の予定で松島新都市(ソンドシントシ)が造成される。この新しい街は、隅々までネットワーク化される計画だが、その部分をシスコが担当している。

松島では、新しく作られる高層住宅も学校も、医療機関も役所も、すべてが予めネットワーク化されており、シスコが提唱する「Smart+Connected Communities(スマートで、かつ接続されたコミュニティ)」ビジョンを具現化する大規模な「プロトタイプ」といえる。

同様の新都市はサウジアラビアなどにも建設中だが、松島のプロジェクトが重要なのは中国が注目しているという点。この開発を仕掛けているゲール・インターナショナル(Gale International)によれば、地方から都市部へ人口流入の続く中国では、新しい都市が500ヶ所も必要になるという。

自宅でエクササイズしたり双方向ゲームに興じたり、あるいは遠隔医療や自動計算できるショッピングカートなど、AT&Tが17年前に描いた「You Will」という近未来のビジョンは、いまやっと現実のものになりつつあるが、ただし旧来のインフラストラクチャーが存在する場合、どうしても共存や移行を考慮せざるを得ないことから、たとえば、電力や水道、交通、教育、行政が有機的に結びついたスマートなコミュニティを築くには時間がかかる。しかし、新しい街ならすべてはデベロッパーの思いのまま。建物も自動車もエネルギー供給施設もすべて予めネットワーキングされているという訳だ。

シスコはここ数年、自社のTelepresenceというビデオ会議システムを強烈にプッシュしているが、この製品は松島だけで2万ユニットも売れたという。同製品の価格が一式数百万円とすれば、松島での売上だけでもそこそこの規模になる。さらに、プロトタイプというべき韓国の1都市でこの額なのだから、中国、インドといった膨大な潜在市場の存在を思えば、シスコが新都市建設に熱意を持つことに不思議はない。

シスコの売り物は、Telepresenceのほか、LinksysのWi-Fiルータからコアルータまで幅広い。しかも、同社はサービスの運用について料金を徴収するという。製品を売って保守費をもらうのが主な収入源だったベンダーからすると、これは新しい事業モデルということになる。

なお、シスコが昨年買収したRichards-Zeta Building Intelligenceという会社では、インターネット経由でビルの空調や照明などをコントロールできるソフトウェアを手がけている。新都市開発を視野に入れた場合、この技術は有益な資産といえよう。さらにシスコは中国の2地方政府(重慶と長沙)と契約済みでもあり、すでに都市開発の面での中国進出は始まっているようだ。

【参照情報】
Cisco helps build prototype for instant cities (SiliconValley.com)
シスコの「Smart+Connected Communities」、エネルギー革新を通して持続可能な経済機会を提供 (プレスリリース)
Songdo IBD - Gale International

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