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アップル、iOSへの「Beats Music」アプリ組込を計画 - ストリーミング配信サービス梃子入れを視野に

2014.11.20

Updated by WirelessWire News編集部 on November 20, 2014, 12:58 pm JST

アップル(Apple)が今年5月に買収した音響機器・音楽配信サービスのビーツ(Beats:以下、ビーツ)について、同社が提供している「Beats Music」のアプリがiOSに組み込まれるとの可能性が浮上している。

Finacial Times(FT)によると、アップルは「Beats Music」アプリをiOSのデフォルトアプリのひとつとして提供する見込みで、このiOSアップデートは早ければ来年3月にもリリースされる可能性があるという。また、アップルが指紋認証機能「Touch ID」を利用し、ユーザーの課金サービスへの加入を促進する可能性も指摘されている。なおこのデフォルトアプリ化に際して、「Beats Music」というサービス名称が変更される可能性もあるという。

またNYTimesでは、アップルがBeats Musicの料金を引き下げるために、レコードレーベル各社と新たなライセンス契約の交渉を進めているとする話も伝えられている。同媒体では、アップルがBeats Musicの月額料金を現在の10ドルから5ドル程度にまで引き下げたいと考えているものの、現時点でレーベル各社がこの提案に難色を示しており、 5ドルよりわずかに高い料金設定を求めているなどとする情報筋の話が紹介されている。

FTでは調査会社Midiaの話として、今年はじめにサービスを開始したBeats Musicの加入者が現時点で推定11万人程度に留まっており、すでに登録ユーザー数で合計5000万人、有料サービス加入者だけに限っても1000万人を越えたスポティファイ(Spotify)とは大きな開きがあると記している。同時に、iOS端末の出荷台数は累計で約8億台に達していることから、Beats MusicのサービスがiOSに組み込まれれば普及をいっきに加速できる可能性があるとも記している。

音楽ストリーミングサービスの分野では、スポティファイがHTCなどの端末メーカーやボーダフォン(Vodafone)、スプリント(Sprint)などの携帯通信事業者と提携し、携帯通信端末に自社サービスのアプリをプリインストールして配布した例などがある。ただし、こうした戦術の成否ははっきりしておらず、たとえばアップルが「iOS 7」でプリインストール配布した「iTunes Radio」は利用がそれほど進んでおらず、同サービスと競合する「Pandora」の牙城を現在も崩せていないという。

欧米でデジタル音楽のストリーミング配信が主流として定着するなか、10月下旬にはiTunes Storeのダウンロード販売額が前年比13〜14%減少となっていることがWSJなどで報じられていた。

いっぽう、人気アーティストのテイラー・スイフト(Taylor Swift)がSpotifyからの収入の少なさを不服として全作品を引き上げたことをきっかけに、広告入りで提供される無料ストリーミングサービスに対するアーティストやレコード会社からの不満の声も高まっているとされている。また、音楽配信源として世界一になっているYouTubeでも先ごろ有料サービスを提供する計画を明らかにしていた。

【参照情報】
Apple's Plans for Beats Music Start to Take Shape - NYTimes
Apple plans to push Beats to every iPhone - FT
Apple said to be embedding Beats music service into iOS - CNET
Apple iTunes Sees Big Drop in Music Sales - WSJ

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