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急成長するスマートフォンのナビ市場にPNDベンダーが急接近

2010.06.24

Updated by WirelessWire News編集部 on June 24, 2010, 10:30 am JST

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(cc) Image by Yutaka Tsutano

PND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)は、日本よりもカーナビのブームが遅れてきた欧米で急成長を遂げ、日本でもここ数年、三洋電機やソニーの製品が好調だった。自動車内に据付け型のカーナビに比べれば機能が簡略化されている製品も多いが、取り外して持ち歩くことができ、安価なことが歓迎されていた。しかし、スマートフォンという強敵が現れて、PNDの目的地は霧に包まれてしまったようだ。

調査会社のアイサプライ(iSuppli)社によると、スマートフォンをベースにしたナビゲーション市場は2010年に10 倍に成長し、2014年には40倍になるという。2009年に800万台だったスマートフォンのナビが、2010年には8,100万台、2014年には2億9700万台にまで急激に伸びると同社は予想している。

ここでいうナビゲーションには、スマートフォンに予め実装されて販売されるもの(便宜上、プレインストール型という)と、スマートフォン利用者が購入後にダウンロードするものがある。ダウンロード型を席捲しているのはiPhoneで、シェアは50%に達するという。iPhone向けのナビ・アプリの平均価格を50ドル(1ドル=89.90円換算だと約4,495円)として、2010年のiPhoneのナビ・アプリ販売は580万本と予想されているので、トータルで2億9000万ドル(約260億7100万円)に達し、30%のマージンを取るアップル(Apple)には8700万ドル(約78億2130万円)が転がり込むことになるそうだ。

iPhoneの位置情報サービス(LBS(Location Based Services))関連のアプリは6,000タイトルを超えているとのこと。Blackberry のRIM(Research in Motion)社は昨年4月車載PNDメーカーのベンチャー、ダッシュ(Dash Navigation)を買収しているなど、スマートフォンはナビ市場にかねてから狙いをつけていた。

ノキアは地図データベース会社Navteqを2007年に買収し、同社サービスのOvi Mapsとして提供している。ノキアが牽引するため出荷台数ベースでは、プレインストール型がダウンロード型よりも圧倒的に多くなるようだ。アイサプライ社の予測では、2014年でプレインストール型が2億5000万台、ダウンロード型は4000から5000万本になるという。

一方で、PNDをリードしてきたアメリカのガーミン(Garmin)やオランダのトムトム(Tom-Tom)は、グーグル(Google)やノキア(Nokia)の無料の地図やターン・バイ・ターン式(交差点ごとに曲がる方向を矢印などで示すナビゲーション方式)のナビに領地を奪われて苦戦してきた。ガーミンは先月、2010年第1四半期の車載向け機器の売上が15%下落したと発表している。

両社はスマートフォン市場への接近を強めている。トムトムはPNDへの依存度を下げ、高マージンの付加価値サービスへシフト。2009年6月のApple主催の開発者向けカンファレンス「WWDC(Apple Worldwide Developers Conference)」でiPhone向けアプリをするなど、戦略を変換している。ガーミンに到っては、今年4月になってカーナビ分野から踏み出し電話機に参入している。自らT-Mobile で利用可能なAndroidスマートフォン投入を発表したのだ。

まさに、カーナビの「前方に大きな障害物あり」といった状況下、生き残りをかけた方向転換は成功するのだろうか。

【参照情報】
Smart Phones Become the New Location Based Services (LBS) Battleground
GARMINfone
Garmin, T-Mobile Releasing Android Phone
Garmin profit misses estimates, shares tumble
TomTom、『iPhone』用 GPS ナビゲーション アプリの提供開始
ノキア、地図データサービスのNAVTEQを81億ドルで買収

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