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着実に進む米企業内でのiPad普及 - ノートPC代替機として定着の兆しも

2010.08.25

Updated by WirelessWire News編集部 on August 25, 2010, 11:26 am JST

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(cc) Image by Christian Jensen

2007年の初代iPhone登場時には、社員によるビジネスの現場への導入に対して慎重な姿勢をとっていた企業も、今年発売されたiPadについては異なる反応を見せていると、Wall Street Journal(WSJ)が報じている。

米国時間24日付の"Businesses Add iPads to Their Briefcases"という記事には、シカゴの法律事務所Sonnenschein Nath & Rosenthal LLPの例が採り上げられている。かつてはiPhoneの利用を禁じていたこともある同事務所では、4月の予約受付開始時に10台のiPadを予約したという。この動きの背景には「(iPadなどのデバイスで)何ができるのかを可能な限り知っておく必要があった」との考えがあった。また同事務所では50人以上在籍する弁護士に対して早ければ来年にもノートPCの代わりにiPadを支給する計画があるという。

この記事では、iPadを導入済みの企業として、上記法律事務所のほかにメルセデスベンツ・フィナンシャル(Mercedes-Benz Financial)やボシュロム(Bausch & Lomb)といった大手企業の名前も挙がっている。

さらに、大手銀行のウェルス・ファーゴ(Wells Fargo)や、大手ソフトウェアメーカーのSAPなどでも、iPadの導入が積極的に進められているというのは以前に記した通り。

なお、Fortuneの米大手企業ランキング上位100社のうち「約半数がiPadの導入を検討している」と、アップルのティム・クック(Tim Cook)COOは7月に語っていた。

2007年のiPhone発売開始当初は、セキュリティー上の問題や、多くの企業が採用しているMicrosoft社のメールソフトとの互換性がないことなどを理由に、職場でのスマートフォン利用には二の足を踏む企業が多かった。しかし、その後のiOSのバージョンアップにともなう機能改善などでさまざまな課題が解決されたことに加え、企業が自社用アプリを開発できる点、さらにノートPCと比較しての価格が安いことなどの理由から、企業によるiPad導入が発売から比較的短期間で進んだとWSJは記している。

いっぽう、米調査会社iPass が24日(米国時間)に発表した"Mobile Workforce Report"では、回答者約1100人のうち、94%が(休暇中も含めて)ほぼ常時ネットに接続できるようにしているが、そのために複数のデバイスを利用しているという回答者が97%に達した。さらに、ネット接続に1つのデバイスしか利用していない人の間では、スマートフォンがノートPCを上回ったという。

「今後6ヶ月以内に、iPadもしくは他社製タブレットPCの購入を検討しているか」という質問に対しては、26.3%がiPadを検討、7%弱がタブレットPCを検討と答えたが、iPad購入検討者の90%以上が「仕事用に買う」と答えたという。

モバイル・ブロードバンドの普及によるクラウド利用の定着などにより、従来のノートPCから、より軽く、簡単に使えるiPadや他のタブレット型デバイスへの乗り換えが進むことは、ある意味でごく自然な成り行きといえるのかもしれない。

【参照情報】
Businesses Add iPads to Their Briefcases - Wall Street Journal
Connected Workers Going iPad for Productivity - GigaOM
エンタープライズ市場に浸透するiPad - 米でも大企業の導入例続々

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