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格安オープンソース携帯電話システムOpenBTS、ネバダの砂漠で作動中

2010.09.03

Updated by WirelessWire News編集部 on September 3, 2010, 11:30 am JST

8月30日(現地時間)から9月6日まで米国のネバダ州北西部のBlack Rock Desertなどで1986年以来毎年開催されている「Burning Man」(巨大な人形を燃やすことからこう呼ばれる)という野外フェスティバルで、オープンソースのGSMスタックなどを構成できるOpenBTSが実証実験を行っている。Linuxマシンを中心に安価な装置類で実際に動作するGSM(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話システムを構築することができるという。

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(cc) Image by Aaron Logan

OpenBTS(Base Transceiver Stationは基地局という意味)はテレコム業界のベテランたちが集まって、オープンソースや汎用のハードウェアを使うことで超低コストのセルラー・システムを作り、(周波数の免許のことはさて置き)誰もが自由にソフトウェア無線を使えるようにしようというプロジェクト。GNU Radioの汎用信号処理ハードウェア USRP(Universal Software Radio Peripheral)を使い、GSMのエアインタフェースを持つことができる。ソフトウェア無線(ソフトウェア定義無線)とは、同じハードウェアを使って制御ソフトウェアを変更することでさまざまな通信方式に切り替えることができる無線通信の技術のこと。

OpenBTSでは、各国で売られているGSM方式の携帯電話なら、何ら改造を加えずにそのまま使える。電話交換処理の部分はこれもLinux上のオープンソースであるAsteriskを使う。AsteriskもLinuxマシンに電話回線を収容するハードウェア・モジュールさえ追加すれば、誰でもPBXを自作できるというものだったが、OpenBTSは事業者でなくてもGSMシステムを構築できてしまう。

発展途上国では、固定電話が敷設される前に、携帯電話が普及してしまうことがよくあるが、その大きな理由は導入のコストの違いである。地上にケーブルを這わせるよりも、無線の設備をところどころに設置する方が格段に安いためだ。しかし、それでも低所得者が多い地域や、いわゆるへき地に住む人々にとっては、事業者が敷設する基地局では高額すぎて、料金を負担することはできない。

"Engineering for Change" の記事によれば、セルラー会社が自社で基地局を設置できない場所にOpenBTSのシステムを置くと、ネットワークコストは10分の1でできて、なおかつセルラー会社が利用者に月額2ドルの料金をチャージすれば黒字を出すことができるとのこと(プロジェクト自体は、月額1ドルでの提供をめざしている)。

基地局は、紳士靴の箱くらいの大きさに納まっている。その国のセルラー会社と協調して設置するので、実際には周波数は割り当てられたものを使うことになるのだろう。電源は太陽光発電などが使われるに違いない。使用している周波数帯が同じなら各国から中古のGSM電話機を寄付することもできるのではないだろうか。OpenBTSはバージョン2.6が8月1日にリリースされており、実際に動いている様子もYouTubeに公開されている。

【参照情報】
The OpenBTS Project (プロジェクトのサイト)
OpenBTS Background (GNU Radioの内のOpenBTS紹介)
Burning Man
Burning Man's open source cell phone system could help save the world (NETWORKWORLD)
Burning Man is the proving point for Earth friendly, open source Linux-based cell tower (NETWORKWORLD)
Open-source cell phone network could cut costs to $2 per month (Engineering for Change)

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