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揺れるシンビアン - 財団閉鎖の可能性浮上も、ノキア幹部は「オープンソース堅持」を強調

2010.10.27

Updated by WirelessWire News編集部 on October 27, 2010, 11:27 am JST

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ノキア(Nokia)のマーケティング担当エグゼクティブVPのニコラス・サバンダー(Niklas Savander)氏がCNET Asiaとのインタビューのなかで、同社のスマートフォンに採用されている「Symbian OS」を非オープンソース化する予定はないと語った。

サバンダー氏は、「自由に抜けたり、参加したりできるのがオープンソース」と述べ、「非オープン化する理由が見当たらない」とコメント。同氏はまた、ノキアでは同社が開発を続けるもうひとつのOS「MeeGo」をハイエンド端末向け、そしてSymbian OSをローエンド端末向けと使い分けることになると今後の見通しを語った。

このノキア幹部の発言の背景には、IT関連業界の専門ニュースサイト「The Register」が、「シンビアン財団」(Symbian Foundation)に近い情報筋の話として、同団体が今後6カ月で運営を停止する可能性があるとする記事を現地時間22日に掲載していたことがある。この記事によれば、同団体が「幹事会が戦略の見直しを進めている」とコメントしただけで、縮小の可能性を認めても否定してもいないという。

ノキアは2008年に4億1000万ドルを費やして、ソニーエリクソン(Sony Ericson)やサムスン(Samsung)、パナソニック、エリクソン(Ericsson)、シーメンス(Siemens)などの各社が保有していた権利を買い取り、非営利団体のシンビアン財団(Symbian Foundation)を設立、同時にSymbian OSをオープンソース化した。

しかし、今年に入ってソニーエリクソンやサムスンはAndroid OSの採用に切り換え、今月にはサムスンが今後はSymbian OSをサポートしないことを明らかにした。また、依然として同団体のメンバーであるソニーエリクソンも、サムスン同様にSymbian OSを採用する計画がないことをすでに明かしていた。

また、先週にはシンビアン財団のエグゼクティブ・ディレクターを務めていたリー・ウィリアムズ(Lee Williams)氏が「私的な理由」から突然の辞任を発表し、これを受けて後任に任命されたティム・ホルブロウ(Tim Holbrow)氏には、運営資金の不足などから同団体の閉鎖が命じられているのではないかとの可能性が報じられていた。

なお、The Registerの記事には、シンビアン財団の年間予算は推定2800万ドルほどで、そのうちノキア、サムスン、ソニーエリクソンの大手3社がそれぞれ780万ドル程度を拠出、残りは富士通など他のメンバー各社が資金を提供しているとある。

こうした流れを受けて、シンビアン財団にとって現在唯一の主要支援者となったノキアだが、スマートフォン市場で競合他社に後れをとるなどで業績の悪化が続いていた同社は、9月上旬に経営トップの交代を発表して以降、組織再編に着手しており、21日に行った決算発表のなかでは1800人程度の人員削減計画を発表していた。ただしこの際に、ノキアのステファン・エロップ(Stephen Elop)CEOは、あくまでもSymbianの採用を続ける方針を明らかにしていた。

【参照情報】
Nokia exec: No plans to bring Symbian back in-house - Fierce Wireless
Staking out Niklas Savander on the business of Nokia - CNET Asia
Symbian Foundation facing extinction as funding dwindles - Fierce Wireless
Symbian Foundation faces closure - The Register

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