○現在の3Gユーザーの現状と各キャリアが展開している料金プランなどは前回お伝えしたとおりであるが、端末販売に対する優遇政策だけではなく、当然ながら中国移動(チャイナ・モバイル)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、中国電信(チャイナ・テレコム)など3大キャリアを中心に各種様々なモバイルサービスが展開されている。今回はその中の1つであるアプリケーションストアの現状をお伝えしたいと思う。
DCCIインターネットデータセンターという調査機関の報告によると、2013年には中国市場のスマートフォン発売台数は1億5,834万台となり、非スマートフォン(一般的な携帯電話)の1億3,397万台を追い抜くとも予想されている(参照情報)。
先日、インターネット調査機関のZDCが行ったアンケート結果でもスマートフォンへの買い替えを表明しているユーザーが圧倒的に多く、買い替えを考えている理由としては「利用できるアプリケーションが豊富である。」というのが現在のスマートフォンを持っているユーザーでも、持っていないユーザーでもそれぞれトップにランクされていた(詳細記事)。
現在中国には大小様々なアプリケーションストアがある。提供者という観点でみれば、キャリアが運営するもの、携帯電話メーカーが運営するもの、モバイルサービスベンダーが運営するものの3つに分類されるが、今回はキャリアが自ら運営しているアプリケーションストアを紹介したい。
三大キャリアのうち、2010年11月末現在、一般向けにアプリケーションストアを提供しているのは、中国移動・中国電信の2社である。
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▼中国移動が運営するアプリケーションストア「MobileMarket」
中国移動は以前からアプリケーションストアを中心としたサービスを展開していたが2009年8月にAndroidをベースとしたOPhoneを発表した時期から、アプリケーションストアもリニューアルし同MobileMarketを展開している。
MobileMarketは先にあげたOPhone向けだけではなく、SymbianやWindowsMobile、Javaプラットフォームなど幅広いプラットフォームに対応したアプリケーションを提供している。
▼MobileMarketの画面イメージ。アプリケーションのダウンロード以外にも音楽や動画、電子ブックなどのサービスも利用可能である。
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現在、アプリケーションは大きく「软件=ソフトウェア」、「游戏=ゲーム」、「主题=(デスクトップ)テーマ」の3つに分けられ、執筆時点ではそれぞれ7,810タイトル、2,737タイトル、31,888タイトルが同MobileMarketに登録されている。
今やApple社のApp StoreやGoogleのAndroid Marketなどのアプリケーション登録数はそれぞれ数十万、十万の単位なので、それに比べると非常にタイトル数が少ない。中国移動では、アプリケーション提供者すなわち開発者向けの専用ページを用意し、各種技術情報の提供や開発コンテストなどを行い、アプリケーション登録数の増加を図っている。
▼中国移動MobileMarketの開発者専用ページ。
また、「MobileMarket百万青年創業計画コンテスト」というインキュベーションプログラムなども総賞金1,000万元(約1億2,600万円)の規模で実施しており、ゲーム開発者やスタート間もない企業を支援し、囲い込みを図っている。
▼「MobileMarket百万青年創業計画コンテスト」のウェブサイト。
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▼中国電信が提供するアプリケーションストア「天翼空間」。
中国電信が展開する天翼空間は2010年3月にリニューアルが図られ、スマートフォンを中心としたアプリケーションが提供されている。
現在アプリケーションは執筆時点で合計8,686タイトル登録されており、内訳はソフトウェアが4,790タイトル、ゲームが1,808タイトル、(デスクトップ)テーマが2,088タイトルになっており、中国移動のMobileMarketよりもかなり少ない。
▼天翼空間の画面イメージ。ツール(工具)、テーマ(主题)、ゲーム(游戏)などの分類からダウンロードしたいアプリケーションを選択できる。
中国電信も中国移動と同様に開発者専用ページを設け、各種技術情報の提供やアプリケーション開発コンテストなどを行ってはいるが、現時点では、開発コンテストの実施数や種類、インキュベーションプログラムなど実施面で実績のある中国移動の推進策のほうが一歩先を言っている感じを受ける。
▼中国電信「天翼空間」の開発者専用ページ。各種技術情報や開発コンテストの案内などが掲載されている。
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三大キャリアの残り一社である中国聯通はUniStoreというアプリケーションストアを展開していくと今年初めから言われており、実際に7月ころにはテストサイトも準備されていたが、現在はアクセスできない状態になっている。2010年12月初旬の現時点では、UniStoreがいつ頃オープンされるのかという正確な情報は入っていないが、急ピッチで作業が続けられていると思われる。
今回紹介した以外にも、中国には携帯電話メーカーやモバイルサービスベンダーが展開しているアプリケーションストアが数十という単位である。これは今後需要が加速するであろうスマートフォン市場への布石であることは間違いない。
今後は、ますます多くのアプリケーションストアを展開する企業が増えてくると予想される。差別化のためには、アプリケーションの種類を増やすと共に、独自性を打ち出していくことが当然必要となる。そのためにはアプリケーションを提供してくれる開発者を惹きつける推進策やプログラムの重要性、必要性が更に増すはずだ。
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