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サムスン電子のモバイル端末向けOS「bada」の戦略

2011.03.03

Updated by Kazutaka Shimura on March 3, 2011, 17:00 pm JST

アンドロイドOSを利用する無名メーカーの端末シェアが広がるモバイル市場

2010年、世界のスマートフォン市場(OS別)では、Android OSのシェアが急進し、前年の3.9%から22.7%へと増加(米調査会社Gartner、2011年2月)。そして、モバイル端末市場における大手メーカーTOP10が占めるシェアが15%以上減り、70%となった。Android OSを利用した格安メーカーのシェアが増えているのである。

サムスン(Samsung)は、2010年にシェアを2%減らしたものの、そのシェアは17.6%といまだにノキアに次ぐ2位である。Android OS利用の格安端末が増えているが、同社は2009年に自社独自のモバイル端末向けOS「bada」(バーダ)を発表した。

bada Devices
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サムスン「bada」とは?

badaは、自社端末1機種(「Wave」)にのみ搭載されている。現在Waveは、世界118ケ国で500万台が販売されており、同社のApp Marketでは、8000万個のアプリがダウンロードされている。

2月にバルセロナで行われたMWCでは、デベロッパー向けのアプリコンテンストの優勝者(Little Sailor)が決定したほか、サムスン自身がbadaを使って制作したアプリ4つが発表されていた。

サムスンのエバンジェリスト、ダク・スン・ハン(Dak Sun Han)氏にbadaの今後の展開について話を聞いた。

Q:badaは他のOSとどこが違うのか?

A:差別化は、それほど考えてはいない。どのOSも似たようなものだから(笑)。ただ、他のOSよりもロースペックなモバイル端末でも動くOSだ。また、WifiやNFC(近距離無線通信)機能を強化している。ほかに、コンテンツデベロッパーにサーバー環境も提供している。また、実機を持っていないデベロッパーに、テスト環境も提供している。

Q:badaは決済システムも提供すると聞いているが、コンテンツ開発者とのシェアはどれくらいか?

A:アプリ売上の70%をデベロッパー側が取る。また、ケータイキャリアともシェアをしている。アプリへの広告配信はサムスンで行う。

Q:現在どこの国でいちばん普及しているか?

A:ヨーロッパが中心だ。とくに、フランスとドイツでまず売り出したので、両国ではアプリがかなり集まっている。

Q:今年、bada搭載のスマートフォンはどれくらいでるのか?

A:bada2.0搭載の端末が出ることは間違いないが、詳細はコメントできない。

Q:badaをサムスンのネットテレビにも応用する計画はあるのか?

A:現状、具体的な動きは無い。将来、テレビにまで搭載されるかもしれないが・・・

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志村 一隆(しむら・かずたか)

情報通信総合研究所主任研究員。1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号を取得。文系・理系に通じ、さらには国内外のメディア事情、コンテンツ産業に精通。著書に『ネットテレビの衝撃―20XX年のテレビビジネス』(東洋経済新報社)『明日のテレビ チャンネルが消える日』(朝日新書)がある。