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[Xi Watching Report #3]Xiの加入者計画に対する進捗確認、加入者動向から読み取ることが出来る需要の変化について考える

2011.03.14

Updated by WirelessWire News編集部 on March 14, 2011, 18:00 pm JST

前回は、「決算説明会で明らかになった、Xiの加入者計画と想定される端末販売台数について考える」と題し、1月末のドコモの決算発表会で新たに示された、2010年度〜2014年度の各年次別の加入者計画を元に、想定される販売台数を考察した。

今回は、前回に引き続き月次契約者数の動向を今年度Xi加入者計画5万件に対しての進捗状況のモニタリングをすると共に、現状のXiの加入者動向から読み取れるデータカード市場の需要変化について考察したい。

経済合理性にもとづけば、Xiはもっと増えてもよい

2月の各社純増数が、今月7日発表された。既に、報道されている通りXiの累計加入者数は11,700件と1月末から6,700件増加した。

▼Xi加入者数月次推移(出所:NTTドコモ会社資料)
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表で示すとおり、12月から純増数そのもの自体は増えているものの、未だに数千件程度と前回寄稿時にも触れた通り、ドコモの第3四半期におけるPCデータカードやWi-Fiルータなどのデータ系加入者の純増数は13万件(単純に月平均にすると4万3,000件/月)と比べるまでもない純増獲得状況だ。

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既知の通り、Xiは2012年4月30日までの申し込みであれば、2年契約をコミットする「Xiデータプランにねん」が月額4,935円で利用可能なキャンペーンを行っており、24ヶ月の総支払額は118,440円となる。一方で、FOMAエリアのみに対応した「定額データプラン」を新規で加入した場合、2年契約をコミットすることで本来5,985円の上限額が当初1年間は4,410円となるキャンペーンを2011年4月30日まで実施している。このFOMAエリアのみに対応した「定額データプラン」のキャンペーン適用後の2年間の総支払額は、124,740円と、PCでしか使わないのであれば、「Xiデータプランにねん」に加入した方が6,300円(1か月分程度の通信料分)と僅かだがお得なのだ。経済合理的にユーザーが考えて行動しているのであれば、Xiの純増数はもっと多くても良いであろう。

▼Xi対応エリアの例:新宿駅周辺(NTTドコモ Xiエリアマップより抜粋)
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当然、XiのエリアはFOMAと比べるとまだまだ不十分な状況。例えば図1で示すとおり、新宿駅周辺でも都庁まで行ってしまうと、Xiのエリア外だ。地図上の上の方に向かって山手線の路線沿いのエリア状況を見ていくと、新宿→新大久保間はほぼXiエリア内であるものの、更に上に向かうと新大久保→高田馬場間は、まだエリア外。因みに、新大久保→高田馬場間は3分程度なので、普通に考えれば使い物にならない状況なのである。但し、Xi圏外ではFOMAのネットワークを使うことが出来るので、エリアが問題でXiの加入者計画に対する進捗が芳しくないということではなさそうだ。

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早くも努力目標化? 待たれる、XiのWi-Fiルータとスマートフォン

既に、ドコモは来年度夏頃にXi対応のWi-Fiルータを、冬にはXi対応のスマートフォンを商品化する計画でいることを公表している。筆者はこのうち、夏のXi対応Wi-Fiルータを待ち望んでいるのだが、筆者に限らず大半のユーザーは、ほぼPCだけでしか使うことのできないUSBスティック型・ExpressCard型よりも、PSPやDSなどWi-Fiが搭載された機器であれば使うことが可能な、汎用性の高いWi-Fiルータ型を望んでいるのであろう。市場需要も明らかにWi-Fiルータ型に移行してきているということを、現状のXiの加入者動向から改めて確認することが出来ると共に、3月は当該業界にとって大商戦期であるとは言え、今年度末の加入者計画5万件については、ほぼ努力目標化していると見てよいであろう。

ちょうど、3月7日の各社契約数発表日に筆者はとある販売代理店幹部の方とお会いしてお話しする機会を頂いたのだが、1週間程度経過し時点でのXiの販売動向に尋ねたところ、2月と比べても大きな変化は無さそう、といった感触であった。このことからもわかるとおり、恐らくドコモも無理して売るという位置付けではなく、あくまでも自然体で、ということなのであろう。夏以降販売されるであろう、Wi-Fiルータに注目していきたい。

▼Xi基地局数の推移(出所:総務省無線局情報検索より作成)
201103141730-3.jpg*注:総務省の無線局情報では「無線基地局免許数」であるため、実際の基地局ローケーション数と異なる場合がある。

なお、今年度のXi基地局設置数についてドコモは1,000局と示しているが、これについては既に1月末時点でほぼ達成されているようだ。表2は、総務省より提供されている「無線局免許情報検索」を元にXiの基地局数推移を昨年の6月以降示したものだが、1月末時点で屋内外の基地局を合計すると1,000局を突破しており、こちらの方は極めて計画的に進捗している印象だ。

 
文・梶本 浩平(金融機関にてアナリストとして通信セクターを担当)

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