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Firefox OSがモバイルの次に目指すウェブによるモノのインターネット

2015.03.10

Updated by Yuko Nonoshita on March 10, 2015, 12:00 pm UTC

Mozillaは3月にスペインのバルセロナで開催されたモバイルワールドコングレス(MWC)会場で、Firefox OSを搭載したMonohmのIoTデバイス「Runcible」を公開した(記事参照<https://wirelesswire.jp/mwc2015/201503/020928.html>)。昨年12月にはKDDIと共同開発による初の国内キャリア対応スマートフォン「Fx0」を発表。1月に米国ラスベガスで開催されたInternational CESでは、Panasonicの4K対応ビエラにFirefox OSを搭載した次世代スマートTV "Life+ Screen"を発表、展示し、そこではPhilips/AOCやTCLとOS搭載デバイスを開発すパートナーシップを発表している。

▼昨年12月23日にKDDIから国内初となるFirefox OS搭載スマートフォン「Fx0」が発売された。
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▼1月にはCES会場でPanasonicとのパートナシップの発表と合わせて次世代スマートTVを展示している。
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これまでFirefox OSといえば、iOS、Android、Windowsに続くモバイルOSという印象が強いのではないだろうか。Mozillaは2011年7月にFirefox OSのプロジェクトを発表し、1年後にOS搭載スマートフォンの開発プロジェクトを正式にスタートさせた。翌13年に最初の端末を発売してから昨年末の時点で、29カ国で16機種を発売しているが、Fx0をのぞくほとんどがエントリーモデルと開発者向けだ。昨年6月には、当時、Mozilla CorpolationのCOOを務めていたリー・コン社長が、上海の「Mobile Asia Expo 2014」でインド市場に25ドルでスマホを発売すると発表しており、昨年10月には本体価格35ドルの「Cloud FX」を新興国向けに発売している。そのためか、モバイル新興国向けに安くて機能も抑えられたスマホOSと見られがちであった。

もちろん、Firefox OSは廉価版モバイル向けOSなどではなく、14年10月にはストリーミングデバイス「Matchsticks」を発表するほか、昨年日本で開催されたMozilla Open Web Day in Tokyoのイベントでは、OSを搭載した様々なデバイスやアイデアを紹介している(記事参照:<https://wirelesswire.jp/Inside_Out/201410081230.html>)。スマートTV分野でも複数の企業とパートナーシップを組んでおり、モバイル以外の分野でも拡がろうとしているのがわかる。では今後、Mozillaが目指す方向はどのようなところにあるのか。CESの直後、マウンテンビューにあるMozillaの本社を訪れたところ、リー・コン社長に直接会って話を聞くことができた。

▼Firefox OSのプロモーションビデオ。パートナーシップの成果の一つとしてPanasoncの次世代スマートTVが紹介されている。

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自由でオープンなFirefox OSは、ローカライズやカスタマイズで優位になる

Fx0を手にインタビューに応じてくれたコン社長は、「そもそもMozillaがFirefox OSの開発に取り組んだのは、ブラウザの時と同じで、自由でオープンなウェブの世界をモバイルでももたらす必要があると強く考えているから」だと言う。

「MozillaはIEがブラウザ市場で圧倒的なシェアを占めていた時代に、IE中心にウェブの技術がコントロールされてはならない、という思いからFirefoxの開発をスタートさせた。現在、ウェブにアクセスするのはパソコンよりモバイルが中心で、iOSとAndroid OSが使われているケースが多いだろう。しかし、ウェブのアクセスにはまだ問題が多く、技術スキルの高い会社が開発しながら解決もあまり進んでいない。それは、ビジネスが大きく関わっているせいで、APIをはじめ全てを管理しなければならないからだ。WindowsやTaizenもそうした状況を改善しようとしているが、MoziilaはNPOでインディベンデントな組織という立ち位置から、純粋にウェブの技術だけを使って、イノベーションに取り組んでいるという違いがある」。

Firefox OSの最も大きな特長といえるのが、やはりHTML 5やJavascript等のウェブ標準技術を使って開発されている点だろう。「他のプログラミング言語に比べて扱いやすく、例えば、各国向けのローカライズ製品を開発する場合や、それぞれの市場に合わせてカスタマイズをする時に優位になる。OSの開発はブラウザと同じく、貴重な時間を使ってコミュニティに参加するボランティアの力に支えられており、多様な人たちが世界から参加している。オープンな開発環境の元、常に最新の技術を反映でき、プロダクトのテストにも対応できるのはMozillaならではだと言えるだろう」。

▼シリコバレーにあるMozillaのオフィス。1階は開発者が自由に出入りできるほか、勉強会やワークショップも定期的に開催されるオープンな空間になっている。
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▼ユニークなデザインのビデオカンファレンスルームをはじめ、全てのインテリアデザインはスタッフが相談しながら進めたという。
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▼各国のコミュニティをイメージしたプレートが壁に並んでいる。
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Mozillaのフィロソフィの理解が生んだFx0

シリコバレーをはじめとして世界のMozillaの拠点では、開発者やコミュニティに向けた勉強会やワークショップが頻繁に開催されている。日本でもMozilla Japanが中心となって様々な支援を行っており、イベントも開催されている。OSの知名度も少しずつ拡がり、搭載デバイスなども次々と発表されているが、日本にFirefox OSの存在を印象づけたのは、やはりFx0の存在だろう。インタビューに同席したFx0開発担当者のトーマス・ホー氏は、ギーク向けにデザインされただけあって、機能もデザインもハイクオリティで、特にインダストリアルデザインがユニークだと評している。

「著名なデザイナーを採用したオープントランスペアレントなデザインは、Mozillaの自由でオープンなフィロソフィをそのまま象徴していると感じる。OSは2.0を搭載し、ホームスクリーンが縦にスクロールできるなど、他のスマートフォンにはない特長ある機能がたくさん取り入れられており、それが開発者に向けて『もっといろいろなことをやってみよう』というメッセージにもつながっている。ウェブ標準技術で開発しているのでユーザーがカスタマイズしやすく、ナビタイムやLINEなどのメジャーアプリもちゃんと動くようにしているほか、日本語入力も使いやすく好評だと聞いている」。

Fx0はアプリ開発にもウェブ標準技術が使えたり、ケースの3Dデータを公開して自分でデザインしたものを3Dプリンターで出力できるようにしたり、その他の面でもMozillaのオープン性を打ち出している。KDDIもスマートフォンの開発とは別に、Firefox OSの開発ワークショップを実施し、ツールを提供するなど市場全体の底上げにも力を入れている。

コン社長は、「KDDIとはブラウザ開発の頃から協力関係にあり、Mozillaのフィロソフィを理解していただいているからこそ、満足いく製品に仕上がったのだろう。これが最初の製品となるが、次の製品や進化を私たちも楽しみにしている」と語る。

▼コン社長(左)とインタビューに同席したFx0開発担当のトーマス・ホー氏は、KDDIとの共同開発によるFx0の完成度を高く評価していた。
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IoTで重視すべきは「使う人の生活をどう変えていくのか」

今後のFirefox OSの向かう方向についてコン社長はこう語っている。
「我々は、日本企業をはじめ数多くの企業とパートナシップを組んでいるが、中でも日本はユニークな国で、技術の専門家も多く、エキサイティングななプロダクトをたくさん開発している。基本レベルが高く、そうした文化に向けてFirefox OSは、パワフルなコンポーネントを提供できると考えている。今後のOSの方向せいだが、モバイル以外の製品を目にする機会が増えるだろう」。

特にIoTは注目すべき市場であるとも明言しているが、ただ直近の技術トレンドを追いかけるのではなく、それが使う人の生活をどう変えていくのかというような視野を持って取り組みたいとしている。

「MozillaはIoTの分野でも、オープンでピュアなウェブ技術を革新していくことを目指し、それを『Web of Things (WoT)』と呼ぶことで、よりウェブを中心とした世界を拡げようと考えている。そのWoTを支えるのは、やはりMozillaコミュニティの存在であり、そこにより多くの人たちが参加してくれることを期待している」。

【参照情報】
Firefox OS 公式サイト(日本語)

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。