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[2011年第16週]スマートフォン利用の拡大に向け施策が続々、大型連休を前に海外向けサービスも

2011.04.25

Updated by Naohisa Iwamoto on April 25, 2011, 10:00 am JST

大型連休を目前にして、ワイヤレス関連の業界では動きが活発だった先週一週間。特にAndroid端末を中心にしたスマートフォンやタブレット端末の周辺動向が多く報じられた。また、今年は控えめとは言え大型連休での海外渡航者に向けたサービスの拡充もなされている。

Android端末のAV連係の道を模索するメーカー

オーディオ・ビジュアル(AV)と言えば、日本の企業が世界を席巻したジャンルの1つ。テレビもビデオもヘッドホンステレオも、日本メーカーの技術やブランドが浸透していた。そんな時代を思い起こさせるのがAndroid端末やスマートフォンを使ったAV連係の動きだ。

201104251000-1.jpg東芝は、Android 3.0を搭載したタブレット端末「レグザタブレット AT300」(以下AT300)を6月下旬に発売すると発表した。AT300は、プロセッサにNVIDIAのTegra 2を採用し、10.1型LED液晶ディスプレイを備える。特徴として掲げている点を見ると、AV面での訴求を感じる。同社の液晶テレビ「レグザ」の映像技術を活用しているほか、テレビやブルーレイレコーダーとの連携も備える。標準で備えるアプリ「レグザAppsコネクト」を使うと、AT300のタッチディスプレイで直感的にテレビやレコーダーを操作できるリモコンとして使えるというわけだ(関連記事:東芝、Android 3.0搭載の「レグザタブレット AT300」を6月下旬発売)。

こうした機能をアプリで提供するのがパナソニック。iPhoneやiPadから同社のテレビ「ビエラ」、BDレコーダーなどの「ディーガ」を操作できるリモコンアプリを提供すると発表した。自宅の無線LAN環境下でiPhoneなどのタッチパネル操作でテレビやレコーダーをコントロールできる。提供するのは「ビエラリモート」「ディーガリモート」「パナソニック ブルーレイリモート2011」の各アプリ。AppStoreから無料でダウンロードできる(関連記事:パナソニック、iPhoneなどをテレビやレコーダーのリモコンにできるアプリ)。

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのスマートフォン「Xperia arc」も、HDMIケーブルによる接続とテレビのリモコンによる操作で、大画面テレビと連係した利用法を提案している。スマートフォンやタブレット端末はさまざまなAVコンテンツが集中するデバイスだけに、テレビやレコーダーなどとうまく連係する道筋をつけることでビジネスが広がりそうだ。

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スマートフォンをビジネスからライフまで活用

AndroidをOSに搭載したスマートフォンが市場で大きな支持を得られていることに呼応するように、アプリケーションやサービス側からの提案も多くなっている。スマートフォンを利用するさまざまな側面で、ユーザーをサポートするものが登場している。

201104251000-2.jpg米エバーノートは、同社が提供するパーソナルクラウドサービス「Evernote」のAndroid向けクライアントアプリをアップデートしたと発表した。アップデートにより、FacebookやTwitterへの投稿が手軽になるほか、共有ノートブックの閲覧・編集といった機能を追加した(関連記事:エバーノートがAndroid向けアプリを更新、FacebookやTwitterへの投稿も手軽に)。

よりビジネスの色合いが強いサービスとしては、NTTドコモが提供する法人向けの「スマートフォン遠隔制御サービス」がある。法人市場でのスマートフォン利用の拡大に伴い、スマートフォンをセキュアに使えるようにするクラウド型のサービスとして提供する。4月25日に提供を開始。専用のWebサイトから、遠隔制御でスマートフォンの操作や設定が可能になる(関連記事:NTTドコモ、スマートフォンを遠隔制御する法人向けのクラウドサービス)。

パーソナルなエンターテイメントをサポートするサービスとして、KDDIは電子書籍配信サービス「LISMO Book Store」の提供を始めた。auのAndroid搭載スマートフォン向けに提供するサービスで、開始時には約3万点のコンテンツを用意する。サービス開始当初の対応機種は「IS03」だが、順次拡大する計画だ(関連記事:KDDI、スマートフォン向け電子書籍配信サービス「LISMO Book Store」を開始)。

さらにKDDIでは将来の有望アプリへの"先行投資"も始めた。KDDIおよびグリーは、Android関連ビジネスのベンチャー企業を支援する米国の投資ファンドに出資すると発表した。投資ファンドは、米DCMが設立する「A-Fund, L.P.」(以下A-Fund)。出資額はそれぞれ総額で2500万ドル(約20.5億円)に上る。将来の出資や提携を視野に入れた関係構築を目指す(関連記事:KDDIとグリー、Androidベンチャー支援の投資ファンドに約20億円ずつ出資)。

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海外でのモバイル通信利用などでサービスが拡充

201104251000-3.jpg東日本大震災の影響もあり、今年の大型連休は旅行料金の大幅なディスカウントが続いているという報道があった。そんな中でも、海外で連休を過ごす人は少なくない。ソフトバンクモバイルは、海外でパケット通信を定額利用できる「海外パケットし放題」の利便性を高めるAndroidアプリの提供を始め、海外渡航者の利便性を高める。接続している事業者が海外パケットし放題の対象になっているかをアプリトップ画面で確認できるほか、各種の設定がアプリの指示に従うだけで完了する。また、同日から海外パケットし放題の利用可能エリアに7か国を追加するなどの施策も講じた(関連記事:ソフトバンク、「海外パケットし放題」にAndroidアプリ提供などサービスを拡充)。

また、NECビッグローブは、海外でモバイルデータ通信を利用できる「グローバルデータ」の取り扱いを始めたと発表した。料金は日額の定額制。パソコンで利用する「USBタイプ」が1日当たり980円、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末などでも利用できる「モバイルWi-Fiルータタイプ」が1日あたり1280円となる。特にモバイルWi-Fiルーター型の端末を使えば、スマートフォンやパソコンなどの複数の機器で通信が可能になるため、割安感があるサービスだ(関連記事:BIGLOBE、1日980円と格安で利用できる海外モバイルデータ通信サービス)。

連休中に国内でじっくり友人と会話を楽しむなら、イー・アクセスの新しいオプションも活用できそう。同社のEMOBILE通信サービスに、10分以内の国内通話が月300回まで無料になるオプション「通話定額オプション」を追加したのだ。4月27日に提供開始。月額1400円の定額を支払うことで、携帯電話、PHS、IP電話含む固定電話への10分以内の通話が無料になる(関連記事:イー・アクセス、月間300回までの通話が無料になる定額オプション)。

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東北3県は地デジ化延期、ソフトバンクは緊急地震速報に本腰

まだ大きく影響が残る東日本大震災関連では、テレビの地上デジタル放送への完全移行が遅れるというニュースがあった。総務省は、東日本大震災での被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で、7月24日に計画していた完全な地上デジタル放送への移行を延期すると発表した。延期の期限は最大で1年とし、具体的な延長期間は今後決定する(関連記事:東北3県の地デジ移行、最大1年の延期へ)。

201104251000-4.jpgこれまであまり身近でなかった緊急地震速報。この1カ月あまりで多くの人の意識にその音色を刻んだことに違いない。そんな中、大手携帯電話事業者の中で緊急地震速報への対応が遅れていたソフトバンクモバイルが、端末の対応を本格化させることを発表した。今後発売する携帯電話およびスマートフォンへの機能の搭載を標準化する。これまでソフトバンクモバイルの携帯電話で緊急地震速報に対応していたのは1機種だけ。ようやく他社の後を追いかけることに決めたようだ(関連記事:ソフトバンク、緊急地震速報への対応を本格化)。

地震災害とは異なるが、事故につながる危険を回避するためのお知らせもあった。KDDIと京セラは2011年4月21日、au携帯電話「W42K」の電池パック交換を改めて呼びかける発表を行った。すでに複数の発表やWebサイトでの呼びかけを行っていたが、今回はW42Kを携帯電話としては解約後、時計機能などで利用していたユーザーから21件目の事故の申告があったことから、ユーザーに交換を再度依頼した形だ(関連記事:21件目の事故が発生した「W42K」、KDDIなどが電池パック交換を重ねて呼びかけ)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。