屋内でも位置情報サービスを可能に - Wi-Fiとスマートフォンを組み合わせた新技術
2011.06.10
Updated by WirelessWire News編集部 on June 10, 2011, 19:00 pm JST
2011.06.10
Updated by WirelessWire News編集部 on June 10, 2011, 19:00 pm JST
スタンフォード大学の学生が立ち上げたあるベンチャー企業が、Wi-Fiのアクセスポイントとスマートフォンを組み合わせて、屋内でもユーザーの位置情報を特定し、それをもとにサービスを提供できる技術を披露したという話が、Technology Reviewで紹介されていた。
このWiFiSLAMという会社は、スタンフォード大学が運営する「StartX」というインキュベータ発のベンチャーの1つ。同社がウリにする技術は、GPSでは難しい屋内にいるスマートフォン・ユーザーの位置情報を、近隣にあるWi-Fiアクセスポイントとの距離から(電波の強弱などを元に)割り出し、さらにスマートフォンに内蔵される加速度センサーやコンパスからのデータをこれにくわえることで数十センチ〜数メートル("within a few steps")の誤差で捕捉し続けることが可能という点。Technology Reviewによると、GPSとWi-Fiアクセスポイントの所在地データを組み合わせた従来の仕組みでは、誤差の範囲を10メートル程度まで縮められないという。
WiFiSLAMでは、もともとロボットのナビゲーション用などを想定してつくったアルゴリズムをベースにこの技術を開発。今後は病院や空港、ショッピングモールといった、比較的広く、しかも利用者が迷いやすいような場所での導入・利用を模索していくという。また同社では、スタンフォード大学付属病院をはじめとする複数の病院での実験導入もすでに計画しているという。
グルーポン(Groupon)などの各社が取り組む割引クーポン提供サービスや、グーグル(Google)がNFC技術の導入でねらうローカル広告など、位置情報の活用が現在大きな注目を集めるテーマであることは改めていうまでもない。ただし、WiFiSLAMの主張するような数メートル単位程度での特定が可能な技術が実用化されるとなると、たとえばスーパーマーケットの棚ごとに違った情報を、ユーザーの移動にあわせて自動的にスマートフォンアプリに送信・表示させるといったことも現実性を伴ったアイデアとなってくるだろう。
また実際に、Westfield Groupというオーストラリアのショッピングモール運営会社では、自前のスマートフォン・アプリ(iPhoneおよびBlackBerry向け)を米国にある55箇所の拠点ですでに導入しており、同様にSimon Propertyというモール運営会社でも161箇所の拠点で利用できる「Shopkick」という自前アプリ(iPhoneおよびAndroid端末向け)を提供し、すでに100万人を超える利用者がいるという。これらのアプリでは、モールの店子にあたる小売り店舗ごとに各々のポイントカード機能を提供することで、ウェブベースの事業者と差別化をはかっているとのこと。
こうした動きや、さらにStop & Shopというセルフサービス式のスーパーマーケット・チェーンが進める、スマートフォンを使った自動チェックアウト/ポイントプログラムの実験などを考え合わせると、WiFiSLAMの技術にはかなり大きな応用の可能性が含まれるといえよう。なお、Shop & Shopが導入しているModiv Media製の技術については、機会をあらためて紹介したい。
【参照情報】
・Using Wi-Fi for Navigating the Great Indoors - Technology Review
・Malls Test Apps to Aid Shoppers
・WiFiSLAM
・StartX - Stanford University
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