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グラフェンの応用でブレークスルー - 「超高速な光通信」実現に期待

2011.09.02

Updated by WirelessWire News編集部 on September 2, 2011, 17:00 pm JST

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(cc) Image by University of Exeter

「地上でもっとも強く伝導性の高い物質」とされ、太陽電池などの半導体やタッチパネルなどさまざまな技術分野への応用が期待されるグラフェンだが、これを光通信の分野に適用することで、いまより数十倍も高速なネットワークを実現する可能性が浮上したという。

2010年にノーベル物理学賞を受賞したアンドレ・ガイム(Andre Geim)氏とコンスタンチン・ノボセロフ(Konstantin Novoselov)氏を含む、英マンチェスター大学とケンブリッジ大学のあわせて9人の研究者が、グラフェンの光の吸収効率を現在より20倍も引き上げる方法を発見したという。この研究結果をまとめた論文が今週、Nature Communications誌のサイトで公開された。

グラフェンはカーボン(炭素)の一種で、2004年にガイム氏とノボセロフ氏らが具体的な入手方法の実験に成功(両氏はこれによりノーベル賞を受賞)し、それ以降応用研究が盛んになったという。原子一個分の薄さ(大きさ)ながら、鉄に比べて約100倍の強度を持ち、電子の移動度が非常に高いというその特性は以前から知られていたが、いっぽうで光(可視光線)の吸収効率が約3%と低いことが難点とされていた。

BBC Newsなどの報道によると、今回ノボセロフ教授らは、グラフェンとプラズモニック・ナノ構造体という金属物質を組み合わせることで、グラフェンの光の吸収効率を20倍も高めることに成功したという。同記事には、「グラフェンの製造技術は日進月歩で成熟しており、このことがグラフェンの有する素晴らしい物理特性ならびに、多岐にわたる応用の可能性や実現性の両方に直接的なインパクトを与えている」というノボセロフ教授のコメント、さらに「グラフェンが光通信や光電子工学の分野で大きな可能性を秘めていることを、この結果は示している」とするケンブリッジ大学のアンドレア・フェラーリ(Andrea Ferrari)教授のコメントが紹介されている。

Registerによると、グラフェンに関する研究論文はすでに数多く発表されており、企業側の取り組みでは、サムスンがグラフェンを応用した柔軟な25インチのタッチスクリーンをデモしており、いっぽうIBMでもこれを使った高速のスイッチング開発を開発・デモしているという。

【参照情報】
Graphene'could help boost broadband internet speeds' - BBC News
Graphene finding could lead to super-fast Internet - Reuters
Graphene photocells could mean hyper-speed internet - Register
Strong plasmonic enhancement of photovoltage in graphene - Nature Communications
太陽電池やタッチパネルに役立つグラフェン透明導電膜、量産手法がカギ - EE Times

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