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クアルコムはインドで何をやろうとしているのか - Businessweek特集記事から

2011.09.26

Updated by WirelessWire News編集部 on September 26, 2011, 20:00 pm JST

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(cc) Image by McKay Savage

先日、クアルコム(Qualcomm)がインドで進める4G/LTE網関連の取り組みに関する話題(「クアルコムのインドでの通信事業に暗雲」)をお伝えしていたが、この背景となる同社の動きについて、よくまとまった内容の話が今月はじめに出たBusinessweek誌に(テクノロジー・コーナーの)特集記事として掲載されていた。今回はこの記事のなかから、目に留まった点を少し紹介したい。

まず、インドの携帯通信市場の現状や今後の見通しについては、16日にWall Street Journal(WSJ)が、グーグルの関連で参考になる話を掲載していた。それによると、同社では現在すでに約1億人いるインドのネットユーザー数が、3年後の2014年には少なくとも3倍の3億人に達し、しかもその大半がモバイルブロードバンド経由になると予想。同国では3Gサービスの展開も昨年後半に始まったばかりで、約12億といわれる人口のなかでネット利用者はまだ1ケタにすぎないことから、先行する中国にくらべても「伸びしろ」がさらに大きいと捉えているという。

さて、こうした市場環境のなかにあって、クアルコムがどんなことをしようとしているのか?。この点について、Businessweekの特集記事は、「同チップメーカーは、世界で2番目に大きな携帯通信市場向けとなる、100ドル未満のスマートフォンを求めている」("The chipmaker wants a sub-$100 smartphone for the world's second-largest mobile market")との一文を見出しに添えているが、より具体的な狙いや動きについては次のような点を挙げている。

  • すでに中国市場からの売り上げが、自社売上全体の約3割を占めているクアルコムとしては、これに続く市場を育てたい考え。
  • ただし、同社のチップを搭載するスマートフォンは相対的に高価であるため、インドなどの市場で成功を収めるには、他社製の安価なチップを搭載した低価格端末に打ち勝つ必要がある。
  • インド市場では最近、ファーウェイ(Huawei)やZTEなどの中国大手メーカーが、100ドル未満のAndroidスマートフォン提供を発表しているが、金額的にはそれでもまだ割高で、一般には手の届きにくい存在(バーティエアテル幹部のコメントが引用されている)。
  • 同市場ではすでにノーブランドの製品が出回っており、この記事の冒頭ではソニーエリクソン(Sony Ericsson)と紛らわしい「Soly Elisom」というブランド名を付した端末が40ドルで売られている、という例が紹介されている。
  • インドの携帯電話加入者8億5000万人超のうち、スマートフォンに対応する3Gサービスの利用者はまだ1300万人程度。これを速やかに増加させるためには、50〜60ドル程度で販売できるスマートフォンを用意する必要がある。
  • クアルコムは数年前、競合する台湾メディアテック(MediaTek)の成功を目のあたりにして、それまでの戦略を変更。新たにリファレンスデザインなども提供し、3G対応端末のメーカー各社の製品開発をサポートし始めた。
  • このサポートを受けながら、インドでは地元の大手メーカー、マイクロマックス(Micromax)などが100ドル未満のスマートフォン開発を進めているが、同社の場合、クアルコムからの支援を受けるようになったお陰で、以前は最長で12ヶ月かかっていた新製品の開発期間が4ヶ月程度まで短縮されたほか、製品の原材料コスト(Bill of Materials)も30%ほど削減できたという。
  • いまのところ同社のもっとも安価なスマートフォンは175ドルとなっているが、6ヶ月以内に100未満の製品を投入できる見通しで、そうなればスマートフォンがいっきに普及すると同社幹部は期待している。
  • いっぽう、HTCの現地担当幹部は、価格以外の問題に対応することのほうが重要との考えで、その一例としてインドで使われている多数の言語(ヒンドゥ、タミル、ベンガリなど)をサポートするアプリ投入の必要などを挙げている。
  • クアルコムと協力するファーウェイでは、バンガロールの拠点でエンジニア2500人体制でハード/ソフト両方の開発を進めているほか、学生向けに3ヶ月無料で3Gサービスを体験できる「お試しサービス」も提供している。なお、ファーウェイでも2012年後半にはクアルコム製チップを搭載した60ドル程度のスマートフォンを投入予定だという。
  • クアルコムは昨年実施された4G用周波数帯のオークションで、総額10ドルを投じてライセンスを獲得。この周波数帯で展開するネットワークはクアルコムの推すLTE方式のものとなるため、他の市場での動き --WiMAXからLTEへの転換を表明した米クリアワイア(Clearwire)やロシアのヨタ(Yota)など-- とあわせて、競合するインテルの勝ち目を奪う可能性が高い。
  • ただし、今後数年間はやはり3Gサービスのほうが主戦場で、こちらは中国製の40ドル端末などが一般消費者にアピールすることが多いため、クアルコムでは苦戦を強いられる可能性があるとしている。

【参照情報】
Qualcomm Rewires for India - Businessweek
Google Sees India Web Explosion - WSJ.com
クアルコムのインドでの通信事業に暗雲

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