[2011年第31週]「Xi」20万突破、auに無料通話付きプラン、Android向けサービス続々
2011.08.08
Updated by Naohisa Iwamoto on August 8, 2011, 09:00 am JST
2011.08.08
Updated by Naohisa Iwamoto on August 8, 2011, 09:00 am JST
8月に入った2011年第30週のトピックは、契約数の統計から見ていきたい。電気通信事業者協会(TCA)の2011年7月末の携帯電話・PHS契約数の数値で目立ったのは、NTTドコモのLTEサービス「Xi」(クロッシィ)が約8万5000の大幅な純増で累計20万契約を突破したこと。データ通信方式の選択肢として、確実に市場へ浸透している。携帯電話の純増はソフトバンクモバイルが変わらず首位。ウィルコムは6カ月連続で純増を記録し、全キャリアーが純増を積み重ねている(関連記事:Xiが8万超の増加で累計20万契約を突破、ウィルコムは6カ月連続純増)。
キャリアーの動きとしては、KDDIが発表した新プランが興味をそそる。KDDIは国際電話の利用が多いユーザーを主な対象にした「プランW」「プランWシンプル」を9月1日から提供する。いずれも国際通話に利用できる無料通話を月額2480円分含むプランである。プランWシンプルで「誰でも割」を契約した場合には基本使用料は月額2480円となり、実質的に基本使用料が無料になる。特徴は国際通話の料金にあるだけでなく、KDDIとして初めてau携帯電話向けの通話料が無料になる時間帯を設けたこともチェックしたい。午前1時〜午後9時の間は、au携帯電話あての通話が無料になる(関連記事:KDDI、国際電話を無料通話に含んだ「プランW」「プランWシンプル」を提供)。
もう1つのキャリアーの動きとして、イー・アクセスの新タブレット発売がある。Android 3.2を搭載したタブレット端末「GALAPAGOS(A01SH)」を8月下旬に発売する。ディスプレイには7インチ液晶を、CPUにはNVIDIA Tegra 2を採用したシャープ製の端末である。通信機能としては3Gには対応せず、IEEE802.11b/g/nの無線LAN機能を備える。無線LANスポット以外では、イー・モバイルブランドのモバイルWi-Fiルーターとの組み合わせて利用することを想定している(関連記事:イー・アクセス、シャープ製のAndroid 3.2搭載タブレット「GALAPAGOS」を発売)。
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Android端末を業務に活用したり安全に運用するためのサービスが各社から登場している。スマートフォンの利用範囲の拡大を支えるサービス群である。その1つが、KDDIが提供を開始したFAXサービス。インターネットFAXサービスの「KDDI ペーパーレスFAXサービス」をスマートフォンで使えるようにするための専用アプリの提供を開始した。Android端末向けアプリを使うと、受信したFAX文書や音声メッセージをスマートフォンで確認できるようになる(関連記事:受信したFAXをスマートフォンで確認、KDDIがAndroid向けアプリを提供)。
もう1つKDDIがアナウンスした業務向けのサービスは、グループウエアなどをスマートフォンで使えるようにするもの。クラウドサービス型のビジネスアプリケーション「KDDI Knowledge Suite」がそれで、グループウエアや営業支援・顧客管理といった機能を提供する。パソコンや携帯電話、スマートフォンなどマルチクライアントで同一のサービスを利用できる。KDDIは今回のサービス提供に際して、Knowledge Suiteを開発・提供するブランドダイアログと資本・業務提携を行ったことも併せて発表した(関連記事:KDDI、Android端末でも使えるマルチデバイスのビジネスアプリ「KDDI Knowledge Suite)。
個人向けのサービスでは、ソフトバンクBBが同社のYahoo! BBおよびSoftBank ブロードバンド サービス会員向けのセキュリティサービスを拡張し、Android端末向けのサービスの提供を始めたと発表した。会員向けセキュリティーサービス「BBセキュリティ powered by Symantec Plus」で適用する。パソコン向けに提供してきたBBセキュリティ powered by Symantec Plusを、Android端末も含めたマルチデバイスセキュリティーサービスとして提供する(関連記事:Yahoo! BBのブロードバンド加入者にAndroid端末向けのセキュリティサービスを開始)。
動画検索やソーシャルアプリの提供を手がけるACCESSPORTは、Android端末のアプリやコンテンツをパソコンで管理できるツール群「smapoke」(スマポケ)の提供を開始したと発表した。iPhoneをパソコン上のiTunesで管理するのと同様に、Android端末をパソコンで管理できるようになる(関連記事:ACCESSPORT、PCでAndroid端末のアプリやコンテンツを管理するツール を提供)。
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Androidだけでなく、iOS搭載端末でも動きはある。スマートフォンアプリとしては異色なのがソニー損害保険が提供した安全運転アプリだ。安全運転の診断をするiPhone向けのアプリ「ドライバーズナビ」がそれ。車内に置いたiPhoneのGPSや加速度センサーの情報を利用して、「ブレーキ」「停止」「ハンドル」「右左折」「スムーズ」の5項目でアプリが採点する。安全運転意識の向上につなげたい意向だ(関連記事:安全運転をiPhoneでチェック! ソニー損保がアプリを提供)。
iPadでSkypeが使えるようになったというニュースもあった。ルクセンブルクのスカイプは、iPad向けのアプリ「Skype for iPad」の提供を開始した。Skypeユーザー同士で無料のビデオ通話が楽しめる。Skype for iPadは、iPad専用にデザインされたSkype初のiPad向けアプリケーション。iPadでは毎秒15フレームのVGA(640×480ドット)動画でビデオ通話ができる。iPad同士はもちろん、iPhoneやAndroid端末、WindowsやMacのパソコン、Skypeのアプリケーションを搭載したテレビなどと相互にビデオ通話が可能である(関連記事:iPadでSkypeのビデオ通話ができるアプリ)。
東日本大震災以降、携帯電話各社はスマートフォンの緊急地震速報対応について方針を発表してきた。既存製品にはソフトウエアアップデートなどで対応、また新しく発売する製品では発売時点で対応済みとするなどとしている。8月初旬の時点での各社の対応状況についてまとめた(関連記事:各社スマートフォンの緊急地震速報対応状況)。
アプリケーション側での対応もあった。インクリメントPは、iPhone向けの地図アプリ「MapFan for iPhone 東北特別版」(以下、東北特別版)を復興活動や避難経路・帰宅経路の確認などに役立ててもらうため、2012年3月末までの期間限定で無償提供する。東北特別版は東北6県(青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島)と茨城県の地図を収めた。オフラインでも利用できるアプリであり、被災地などで通信ができなくても地図を確認して帰宅に役立てるといったことが可能だ(関連記事:インクリメントP、「MapFan for iPhone」の東北版を無償で提供)。
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このほか、主だったニュースを紹介する。日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン(民放キー局5社)と電通は、民放各社が主体となった有料VODサービス(以下民放VOD)を共同で推進することに基本合意したと発表した。2012年度から2014年度を本格運用に向けた準備期間と位置づける。料金体系やサービス開始時期は未定で、6社で検討するとのことだ(関連記事:民放キー局5社と電通が有料VODサービス共同推進の基本合意を発表)。
また、さくらインターネットは、データセンターの給電システムについて発表している。これは2011年秋に竣工予定の同社の石狩データセンターで、導入を予定している高電圧直流(HVDC)給電システムについてのもの。実機レベルで評価検証した結果、総合効率90.394%を達成したことを発表した。当初発表していたHVDCの総合効率90%以上を達成したことになる。5月から7月にかけて、さくらインターネット西新宿データセンターで、さくらインターネット、NTTデータ先端技術、河村電器産業、日商エレクトロニクスの4社合同により行った(関連記事:さくらインターネット、高電圧直流給電システムの評価検証で総合効率90%超を達成)。
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