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米司法省、AT&TによるT-モバイル買収に反対表明 - 差し止めを求めて提訴

2011.09.01

Updated by WirelessWire News編集部 on September 1, 2011, 10:05 am UTC

米司法省(Department of Justice:以下、DOJ)は米国時間31日、今年3月に発表されたAT&TによるT-モバイル(T-Mobile USA)の買収計画について、市場での適正な競争の阻害につながるなどとして、この差し止めを求める訴えをワシントンの連邦裁判所に提出した。

米携帯通信市場で契約者数第2位のAT&Tが同4位のT-モバイルを買収するというこの計画は、買収予定額が390億ドルと米国の通信業界でも史上6番目の規模となる大型買収として、各方面から関心が集まっていた。両社と競合する市場3位のスプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)は3月の発表直後から、この計画に反対する姿勢を示してきており、また消費者団体などからも反対の声が上がっていた。

AT&Tでは、スマートフォンの普及によるトラフィックの増加によって生じた帯域幅の逼迫を軽減するために、豊富な帯域を確保するT-モバイルの買収が必要だとし、買収が実現した暁には自社で展開するLTE網の人口カバー率を全米の97%まで引き上げられるとのメリットを主張している。

一方、反対者の間からは、この買収が認められた場合、AT&Tとベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless:以下、ベライゾン)の大手2社による市場の寡占が進み、それが適正な競争と技術革新の妨げになることから、結果的に公の利益を損ねることにつながるとの懸念の声などが上がっていた。

今回のDOJの動きについて、AT&Tは「意外であり、落胆している」とコメント、同時に今後は法廷で争っていくと述べている。Wall Street Journal (WSJ)では、関係者の話として、AT&T側では先週にもDOJ関係者と話し合いを行い、DOJ側の関心が買収計画の承認自体から、政府の懸念に応えるための具体的な対応策のほうにすでに移ったとの印象を得ていたと伝えている。またReutersでは、AT&Tが31日に、この買収計画が承認された場合、現在海外のコールセンターで処理している仕事の一部を米国内に戻すことで、新たに5000人分の雇用を生み出す意向があることを明らかにしていたと記している。

司法省の反トラスト部門の代表であるシャリス・ポゼン(Shris Pozen)氏はAT&Tに対し「扉は開かれている」とし、今後同社との話し合いを通じて解決策を模索していくつもりがあると述べている。

なお、AT&Tは今回の買収案が破談になった場合、T-モバイルの親会社であるドイツテレコム(Deutsche Telekom)に対し、30億ドルの違約金に加えて、周波数帯の譲渡や、T-モバイルのユーザーがAT&Tユーザーに電話する場合に生じる携帯電話接続料の値下げなど、あわせて70億ドルにも上る賠償をする契約となっている。

この計画の承認をめぐっては、DOJと米連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)がそれぞれ審査を進めていたが、FCCでは、今回のDOJの動きについて、FCCの審査にも少なからず影響を及ぼす可能性があるとしつつ、同委員会ではさらに審査を続けていくとコメント。なお、DOJが反対した案件をFCCが承認した例はこれまで一件もないという。

【参照情報】
Justice Department Sues to Block AT&T's Takeover of T-Mobile - WSJ.com
U.S. Files Antitrust Complaint to Block AT&T, T-Mobile Merger - Bloomberg
AT&T vows to bring back 5,000 U.S. jobs if merger approved - Reuters
AT&T Surprised by Government's Move to Block T-Mobile Deal - AllThingsD
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