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iPhone 5の目玉機能「アシスタント」について予習してみる(動画付き)

2011.10.04

Updated by WirelessWire News編集部 on October 4, 2011, 11:09 am JST

新型iPhoneの発表を目前に控え、さまざまなニュースサイトなどでこの話題にちなんだ「直前予想」とでも呼べる記事が掲載されているが、そのなかから「iPhone 5の目玉機能」と前評判の高い音声コマンド機能「アシスタント」("Assistant")に触れたものをいくつか紹介する。


[「アシスタント」のベースとなるSiriの技術を説明したデモ]

まずWall Street Journalでは、累計の出荷台数が1億2800万台を超え、先進国市場では至るところで目にするようになったiPhoneについて、市場ではいまだに旺盛な需要が見込まれるとし、米調査会社チェンジウェイブ・リサーチ(ChangeWave Research)が7月に実施した調査で、今後90日以内にスマートフォンの購入を予定する回答者の46%がiPhoneを選ぶと答えたという結果を紹介。その一方で、アップルにとって、新しいデザインや機能で消費者をあっと言わせることが、代を追うごとに難しくなっている可能性があると指摘している。

同紙ではとくに、iPhoneの形状(=インダストリアル・デザイン)については、その大きさなどの制約から大胆なアイデアを盛り込むことが難しくなっており、その分差別化要因としてのソフトウェアの比重が高まっているとする専門家のコメントを引用。さらに6月のWWDCで披露されたiOS 5から新たに含まれる「iCloud」「iMessage」などの機能に触れた上で、アップルがまだ秘密にしている隠し球として、シリ(Siri)のバーチャル・パーソナル・アシスタント(Virtual Personal Assistant:VPA) 技術をベースにした「アシスタント」の搭載可能性に触れている。

アップルが昨年買収したこのSiriの技術については、2009年に同社を「有望な10の技術」のひとつに選んだTechnology Review(TR)サイトに詳しい説明があるが、それによると、もともと米DARPAが支援した人工知能(AI)研究プロジェクト -- Cognitive Assistant that Learns and Organizes(CALO)--から生まれたSiriの技術は、アップルのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)前CEOが「単なる検索や音声認識ではなく、これは人口知能(Artificial Intelligence)だ」と称したといわれるように、従来のキーボードやマウスを使った操作に代えて、音声によるやりとりを通じて情報端末を操作するものになるという。単なる音声認識ベースの検索との違いを伝えるため、同誌はSiriでできることとして、たとえば「仕事場の近くでイタリア料理を出すロマンティックな雰囲気の店がいい」という人間の問いかけを理解して、その答えとなりそうな情報を探してきた上、ユーザーからの指示によっては予約も入れる、という例を記している。

同時にTR誌では、グーグルの音声検索アプリの精度がかなり高いことに触れ、その理由について同社が集めた膨大な検索データが利用されているためとするいっぽう、そうした手がかりのないディクテーション(メッセージの書き取り)などではまだ改善の余地が大きいと指摘。これを踏まえ、アップルの「アシスタント」でもカレンダーやアドレスブック、音楽のプレイリストなど予め対象範囲がはっきりしたもの以外は、アップル製品に期待される高い完成度をもつものを出すのが難しいのではないかと推測している。

また9to5 Macでは、米SRI(Stanford Research Institute)在籍時にCAROプロジェクトに携わり、その後Siriの共同創業者にもなったノーマン・ウィナースキー(Norman Winarsky)氏とのインタビュー記事を掲載。このなかで同氏は、「アップルがSiriの技術を利用して、具体的にどんなことをしようとしているか」については人々が噂で聞いている程度にしか知らないとした上で、Siriで開発されたAI(VPA)技術がiPhoneに搭載されて世に出ることは、「世界を変える出来事」と述べている。

なおこの記事中には、Siri設立当時に同社が作成した説明として、次のような一節が紹介されているが、「われわれは現在、検索結果のリンクをたどる形で求める情報にたどり着いている。それに対し、VPAを利用するようになると(マシンと)会話しながら情報にたどり着くようになる」とするあたりに、この技術の大きな可能性と潜在的な脅威が感じられる。

Virtual Personal Assistants (VPAs) represent the next generation interaction paradigm for the Internet. In today's paradigm, we follow links on search results. With a VPA, we interact by having a conversation. We tell the assistant what we want to do, and it applies multiple services and information sources to help accomplish our task. Like a real assistant, a VPA is personal; it uses information about an individual's preferences and interaction history to help solve specific tasks, and it gets better with experience.

KEYNOTE: The Game Changer: Siri, a Virtual Personal Assistant from Semantic Web on Vimeo.

[Semantic Webの専門家でSiri開発にも携わったトム・グルーバー(Tom Gruber)氏のプレゼン。懐かしい「ナレッジ・ナビゲータ」のコンセプトビデオの一部も登場]

【参照情報】
New iPhone Risks Same Old Same Old - WSJ
Let's Talk, iPhone - Technology Review
TR10: Intelligent Software Assistant - Technology Review
Co-Founder of Siri: Assistant launch is a "World-Changing Event" (Interview) - 9to5 Mac
iPhone 5の目玉機能か - 新たな音声コマンド「アシスタント」が話題に (編集担当メモ)

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