WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

ソニー、ソニー・エリクソン完全子会社化に向け、エリクソンと交渉(WSJ報道)

2011.10.07

Updated by WirelessWire News編集部 on October 7, 2011, 10:15 am JST

ソニーが、エリクソン(Ericson)との合弁事業である携帯電話メーカー、ソニー・エリクソン(Sony Ericson)の完全買収に向け、エリクソンとの交渉を進めていると、Wall Street Journal(WSJ)が6日付で報じた。またこのWSJ報道を追う形でBloombergやReutersからもこの件に関する記事が出されている。

Corporate - Sony Ericsson
201110071015-1.jpg

ソニーとエリクソンは、2001年10月にそれぞれ50%ずつ出資してソニー・エリクソンを設立。両社間の契約は10年間とされ、今年はその更新時期にあたる。WSJが伝えた関係者の話によると、両社の交渉は最終段階にさしかかっているという。

エリクソンが保有するソニーエリクソン株式の価値については、Bloombergが、スウェドバンク・マーケッツ(Swedbank Markets)のハアカン・ウランネ(Haakan Wranne)氏というアナリストの推定14億ユーロ(19億ドル)という見方を紹介。同氏は、ソニーエリクソンよりも市場シェアが大きく、価値の高い特許ポートフォリオを保有するモトローラ(Motorola)が125億ドルでグーグル(Google)に買収されることに触れながら、世界第10位の携帯電話メーカーであるソニー・エリクソンにはソニー以外の買い手が現れる可能性も低く、「モトローラほどの金額になることはないだろう」とWranne氏は指摘しつつ、合弁関係の解消は両社にとって「理にかなった」ものと述べている。

ソニー・エリクソンは、ソニーの「PlayStation」の要素を組み込んだスマートフォンも販売しているが、これまでは「ソニーが持つゲーム機などの資産を最大限活用しきれていなかった」とWranne氏はBloombergに語っている。

いっぽう、サンフォード・C・バーンスタイン(Sanford C. Bernstein)のアナリスト、ピエール・フェラグ(Pierre Ferragu)氏は、通信関連機器ベンダーのエリクソンにとっても、ソニー・エリクソンの株式を持ち続けるメリットはないと指摘(Bloomberg)。また、エリクソンが自社の持ち分を手放す可能性が高いとの報道を受け、同社の株価は6%上昇したとReutersは報じている。

携帯電話機市場で一時は世界第4位につけていたこともあるソニー・エリクソンだが、近年では低価格機種ではノキア(Nokia)やサムスン(Samsung)、またハイエンドモデルではアップル(Apple)などに押され、7月15日の決算報告では、フィーチャーフォン関連の事業縮小を進めるとしていた。ただし、大きな期待をかけるスマートフォン事業についても、東日本大震災による部品調達への影響を受け、最新モデル投入の試みも順調とはいえない状態が続いていたとBloombergは記している。

いっぽう、WSJには、円高の影響でソニーにとっては以前よりもソニー・エリクソンの株式取得が割安になっているとの指摘もみられる。

【参照情報】
Sony Nears Deal to Buy Out Ericsson From Joint Venture - WSJ
Sony Nears Deal to Buy Ericsson's Stake in Mobile-Phone Venture, WSJ Says - Bloomberg
Sony near buying Ericsson out of phone venture: report - Reuters
ソニー、エリクソンとの合弁解消で合意間近 - WSJ日本版
ソニー、エリクソンとの合弁解消に向け交渉=報道 - ロイター

日本エリクソンのアラタロ社長に「世界のトップベンダー」の状況について話を聞いたインタビュー記事はこちら

かつて貿易摩擦華やかなりし頃、米国のモトローラは「日本でも米国と同じ技術を使うべし、使わないのは非関税障壁である」という政治力も使って日本に参入した。

スケールとスコープで勝負するエリクソン

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

RELATED TAG