携帯3社の2012年2Q決算、減収減益のドコモ、復活したKDDI
2011.11.07
Updated by Naohisa Iwamoto on November 7, 2011, 10:30 am JST
2011.11.07
Updated by Naohisa Iwamoto on November 7, 2011, 10:30 am JST
携帯電話大手3社が、2012年3月期の第2四半期決算を発表した。3社の最後、11月2日に発表したNTTドコモは減収減益、そのほかの2社は増収増益という決算だった、
▼表1:2012年3月期第2四半期の携帯電話3社の決算概要
NTTドコモの第2四半期は前述のとおり減収減益だった。営業収益は2兆1130億円で前年同期比1.2%の減収、営業利益も5085億円の4.3%の減益という決算だ。ただし、減収減益はポイント、故障修理制度見直しによる引当金減の550億円の影響によるもの。その影響を取り除くと収入は2%増、利益は6.7%増で320億円の増益になると説明する。
スマートフォンの販売は好調で、上期累計で363万台と2011年度通期の252万台を44%も上回る数値となった。こうした状況をかんがみてNTTドコモでは、スマートフォンの通期の販売台数を当初計画の600万台に250万台上乗せし、850万台と見込んでいる。営業収益も通期で当初計画に100億円、営業利益は同200億円をそれぞれ上乗せする強気の計画である。
KDDIは、続いていた減収決算にピリオドを打ち、増収増益の結果を残した。営業収益は前年同期比1.4%増の1兆7433億円、営業利益は同7.6%増の2667億円となった。移動通信事業に限れば、営業収益は2.1%の増加ながら営業利益は6.7%の減益になる。その分を、ネットワークコスト削減や、中部テレコミュニケーション(CTC)およびジャパンケーブルネット(JCN)などのグループ会社の営業利益増加により大幅な増益となった固定通信事業が埋めてなお増益となった。
スマートフォンは上期の累計で191万台となり、出遅れを取り戻す傾向にある。MNP(モバイル番号ポータビリティ)の状況も、これまで純減が続いていたが、9月に目標を半年前倒しして純増へと移行した。iPhone 4Sの発売もあり、10月以降も転出が減少、転入が増加する傾向がより強まっている。KDDIでは、「auのモメンタム(勢い)が急速に回復している」と分析している。
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ソフトバンクは、営業収益が1兆5356億円と4.8%の増加、、営業利益が3732億円と18.3%の増加という増収増益決算だった。営業利益は6期連続の最高益を記録した。純利益も2172となり、1401億の純利益だったKDDIを営業利益に引き続き初めて逆転した。移動体通信事業は営業利益が前年同期比約21%増の2500億円に達する勢いで、全体の業績に貢献している。
通期の携帯電話端末の販売台数は約521万5000台で前年同期比34万1000台の増、上期の純増数は約149万台となった。好調の理由としてソフトバンクでは、iPhoneに加えAndroid端末も含めスマートフォンの販売が増加したことと、みまもりケータイやモバイルデータ通信端末の販売が好調に推移したことを挙げている。
1契約当たりの売上を示すARPUのデータでは、音声による収入が大きく減少し、データの収入の伸びである程度の穴埋めをするという傾向が一段と鮮明になってきた。
▼表2:2012年3月期第2四半期のARPU推移
総合ARPUは、NTTドコモが前期比230円の減少で4970円、KDDIは同510円の大幅減少で45900円となった。一方ソフトバンクはかろうじて10円の増加を保ち4310円と他社に接近してきた。音声ARPUはNTTドコモが2280円(前年同期比380円減)、KDDIが2130円(同660円減)、下げ幅が小さかったソフトバンクでも1780円(同230円減)となり、3社そろって減少した。前年同期比で10〜20%の大幅減少で、音声ARPUは下げ止まりの水準すら見えてこない。
一方のデータARPUは3社とも増加の傾向にある。NTTドコモは2690円(同150円増)、KDDIは2460円(同150円増)、ソフトバンクは2540円(同240円増)で、着実に収入をデータ通信から稼げる体制に移行しつつある。
【発表資料】
・NTTドコモ:2011年度 第2四半期 決算 [PDF]
・KDDI:2012年3月期 第2四半期決算 [PDF]
・ソフトバンク:2012年3月期 第2四半期 決算説明会 [PDF]
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