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アドビ、モバイル端末向けFlashの開発中止を発表 - リストラ実施へ

2011.11.10

Updated by WirelessWire News編集部 on November 10, 2011, 12:09 pm JST

アドビ(Adobe)は米国時間9日、モバイルブラウザ向け「Flash Player」の開発を中止し、今後はHTML5関連の取り組みにフォーカスしていくことを明らかにした。この発表などの影響で、同社の株価は一時14%も下落した。

アドビの公式ブログによると、同社は現在開発を進めているAndroidならびにBlackberry向けの「Flash11.1」については予定通りリリースするものの、それ以降はバグの修正やセキュリティーアップデートなどのメインテナンスだけを行うことになるという。

Flashは、アドビがマクロメディア(Macromedia)の買収に伴って獲得した技術で、インタラクティブ・コンテンツやストリーミングビデオの配信プラットフォームとして、インターネットが普及し始めた1990年代なかばからいち早く大きなシェアを握り、PCブラウザ向けでは事実上の標準技術のひとつとなっている。携帯通信分野でも一時は日本のフィーチャーフォン向けゲームの開発に多用される場面もあった。しかし、その後新たな業界標準として「HTML5」が発表され、アップル(Apple)やグーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)などの大手各社が軒並み支持を表明したことから、Flashの相対的な存在感は低下、開発元のアドビに対する風当たりも強まっていた。

なかでも、アップル前CEOの故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が昨年4月に行ったFlashへの批判は痛烈なもので、関係者や一部のユーザーから大きな注目を集めていた。ジョブズ氏は「iOS端末でFlashをサポートしない理由」を記した公開書簡をウェブに掲載し、そのなかでFlashの問題点として消費電力の多さやセキュリティ面の懸念などの理由を挙げて「Flashは携帯端末に適していない」と述べていた。しかしこの「攻撃」に対する反論をアドビCEOがWSJに寄稿したことから、その後しばらくの間両者の言い分をめぐる議論がウェブ上などで巻き起こっていた。また、iPhoneやiPadとの差別化要因として、自社製品のFlash対応を挙げるAndroid端末メーカーなども多かった。

アドビはこれまで、ゲームなどのコンテツ開発に関してHTML5には難しい部分があるとしてFlashの優位性を主張してきた。その同社にとって今回の発表は大きな方向転換といえるが、アナリストらの間ではこの動きを評価する声も上がっている。IDCアナリストのアル・ヒルワ(Al Hilwa)氏は、FTに対し、このアドビの動きを「ウェブ標準をめぐる状況の変化に対応するための、賢明な判断」と述べ、さらに「HTML5の勢いが増している・・・より大規模な開発者のエコシステムを利用できる代替ソリューションがある状況では、地球上のあらゆるハードウェアでFlashを動作させようとすることに膨大な人的リソースを注ぎ込むことは不必要に思える」とコメント。また同氏はBloombergに対し、「アドビにとって変化は避けられないものだった。同社(のFlash)が成長した時代には、インターネットが前進するために、ある種のプロプライエタリなソフトウェアを必要としていた。当時のウェブ標準をめぐる動きが十分な速さで進んでいなかったからだ。しかしその後、市場の状況は変わってしまった」と述べている。

なおこの発表とあわせて、アドビは従業員の7%にあたる750人の人員削減計画を発表、また来年の売上について4〜5%減少するとの見通しを明らかにしている。


[2010年4月末にWSJ.comで公開されたアドビCEOのインタビュー]

【参照情報】
Adobe Drops Flash for Phones, in Reversal - Wall Street Journal
Adobe Falls as Strategy Shift Raises Concerns - Bloomberg
Adobe to abandon work on mobile Flash -
Adobe throws in towel to Apple in Web software war - Reuters

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