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[2011年第49週]Xi急速増殖中、Carrier ID国内では搭載なし、東京の地下鉄エリア化

2011.12.12

Updated by Naohisa Iwamoto on December 12, 2011, 10:30 am JST

街はクリスマスや忘年会に色塗られ、師走らしさが増してきた。とは言え、まだ年末休みには遠くさまざまなニュースが流れてきている。

先日から話題になっているCarrier IQについて、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルの3社から、いずれも自社提供端末については調査中との回答を得た。その後、各社の広報担当者から続報があり、国内で販売している端末については、Carrier IQの搭載や動作は認められなかったという(関連記事:国内キャリア端末へのCarrier IQ搭載状況調査結果)。

Xi契約者が急増、パナソニックは海外展開へ

201112121030-1.jpg国内市場の動向を示す定点観測の統計数値では、Xiの躍進が目立った。電気通信事業者協会(TCA)は、2011年11月の携帯電話・PHSの契約数を発表した。携帯電話の純増トップはソフトバンクで変わらずだが、2位以下と接近戦になることが多かった最近の流れを断ち切り、純増の50%近くを占める勢いだった。NTTドコモのLTEサービス「Xi」はサービス開始以来最高の16万超の純増で、累計を約65万契約に伸ばした(関連記事:2011年11月の契約純増はソフトバンクが圧勝、Xiは過去最高の16万超の純増)。

11月24日は、初のXi対応スマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」が発売され、この勢いが数字に現れている。引き続き、「Optimus LTE L-01D」が12月7日の予約開始で12月15日に発売、「ARROWS X LTE F-05D」が12月10日予約開始で12月17日に発売と製品の市場投入が相次ぐ。12月10日のARROWS X LTEの予約開始では、ドコモショップによっては開店から30分ほどで初回分の受付が終わるほどの人気ぶりを見せた。Xiシフトに本腰を入れるドコモの施策にユーザーの反応も高く、年明け1月11日に判明する12月の動向が興味深い。

携帯電話メーカーの海外再進出が目立つようになってきた。パナソニック モバイルコミュニケーションズは、2012年3月に欧州市場に向けてスマートフォンを提供すると発表した。グローバルモデルの第1弾は超薄型で防水のスマートフォンで、これを足がかりに2012年度には欧州市場で150万台の販売を目指す。2015年度には欧州・アジア・中国・米州で900万台を目標とする(関連記事:パナソニックモバイルがスマホで海外進出、2015年に900万台へ)。仏オレンジにスマートフォンを提供するシャープや、海外展開を表明しているNECカシオモバイルコミュニケーションズに続き、グローバル市場にチャレンジする。

201112121030-2.jpgコムスコア・ジャパンは、日本におけるスマートフォン利用の最新状況のレポートを発表した。調査によると、スマートフォンをメイン端末として利用しているユニークユーザー数は1456万人で、男女比率は男性61.5%に対して女性38.5%となった。年齢別に見ると、35歳以下が51.8%と過半数を占める。25歳〜35歳は25.6%とボリュームゾーンになっている。また、居住地域別に見ると、関東甲信越が39.7%、関西が19.6%と大都市圏にスマホユーザーが集中している(関連記事:35歳以下、男性、関東甲信越在住、スマホユーザーの中心像をコムスコアが分析)。

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地下鉄、フェムトなどインフラ整備へまい進

201112121030-3.jpg首都圏では、利用者が多いにもかかわらず相変わらず圏外で不評の地下鉄。ここへきて、地下鉄の駅や車内で携帯電話を使えるようにする取り組みが本格化してきた。東京メトロと都営地下鉄は、2012年末までに全線で携帯電話を利用できるようにする。手始めに、東京メトロは南北線の本駒込〜赤羽岩淵駅の間で、都営は都営新宿線の新宿〜九段下駅の間で、2012年3月までにサービスを開始する。一方、大阪市営地下鉄は一部駅構内でソフトバンクWi-Fiスポットのサービスを開始する(関連記事:地下鉄エリア化加速、東京メトロと都営は2012年に全線エリア化へ)。

KDDIは、自宅用の小型基地局として提供している「auフェムトセル」を利用できるブロードバンド回線として、今回、ケイ・オプティコムの「eo光」と、中部テレコミュニケーション「コミュファ光」を加える。これにより、auフェムトセルを利用できるユーザー層を増やす。2011年12月8日から対応を開始した(関連記事:KDDI、フェムトセルの対象回線に「eo光」「コミュファ光」を追加)。

事業者のインフラでは、ファーウェイがイー・アクセスに向けて太陽光発電ソリューションを提供したというニュースがあった。ファーウェイの「ソーラー&ディーゼル・ソリューション」を提供し、環境負荷の低い基地局をイー・アクセスが構築した。太陽光発電時には商用電源を必要とせず、TCO引き下げやCO2排出量削減の効果が得られる。さらに、基地局の点検作業の負担軽減にも寄与するという(関連記事:ファーウェイ、イー・アクセスに太陽光発電ソリューションを納入)。

安いSIM、スマホで動画など、各種サービス

ユーザーが利用するサービスでは、2つのトピックを紹介する。

1つは、イオンと日本通信が提供するSIMカードの話題。月額980円から利用できることで人気の「イオン限定」データ通信SIM製品に、音声通話ができる新パッケージが追加された。最低料金のプランの場合、月額2270円で定額のデータ通信と1365円分の無料通話を含む音声通話のサービスが受けられる。2011年12月10日に全国のイオン208店舗で提供が始まった(関連記事:イオンと日本通信、通話も可能なSIMを月額2270円から提供)。

201112121030-4.jpgスマートフォン向けのビデオ視聴サービスも登場した。NTTぷららは、「スマートフォンなどのモバイル機器の契約だけでビデオ視聴ができる「ひかりTVもばいる」の提供を開始した。テレビ番組やビデオを光回線で伝送する「ひかりTV」のビデオ作品を、スマートフォンだけで視聴えきるようになる。専用のアプリケーションをスマートフォンやタブレット端末にインストールして使う。月額350円と月額1000円の2種類の見放題プランを用意する(関連記事:スマホでビデオ作品を見放題、NTTぷららがモバイル専用サービスを提供)。

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法人向けのスマートフォン利用に

法人向けのサービスも見逃せない。スマートフォンやLTEが、法人でも欠かせない存在になる日は近づきつつあるからだ。NTTソフトウェアは、業務で利用するメールの内容も端末に残さないオフィスソリューション向けのアプリを開発したと発表した。同社のオフィスソリューション「ProgOfficeセキュアオフィスシリーズ」のアプリとして2012年春に提供を開始する。業務で利用するメールや添付ファイルをスマートフォン端末に保存しないで閲覧・送受信を行える。このため、端末を万が一紛失したり、盗難にあったりしても、端末にはデータが保存されていないため機密情報の漏えいが起こらない(関連記事:NTTソフト、メールも通話履歴も残さない業務用Androidアプリ)。

201112121030-5.jpg一方、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、法人向けのモバイルデータ通信サービス「IIJモバイルサービス/タイプD」にLTEを追加し、2012年2月から提供すると発表した。「IIJモバイルサービス/タイプD」はNTTドコモのMVNOとして提供するサービスである。料金は3段階のプランを提供する。月額費用は基本料金(1段目)が月額800円で3MBまで、2段目は300MBまでで2800円、3段目は300MB以上で5700円となる(関連記事:IIJ、法人向けサービスにLTEを追加、3段階料金制を採用)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。