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シグナリング爆発は3年前に警鐘、技術力とユニークな製品群に強み──ノキア シーメンス マーケティング担当バリー・フレンチ氏

2012.03.09

Updated by WirelessWire News編集部 on March 9, 2012, 00:01 am JST Sponsored by NOKIA

急速なスマートフォンシフトは、グローバル市場で日本に先駆けて進んでいる。通信事業者は、内外にかかわらずその潮流に対応するインフラ整備が必要だ。グローバル市場で通信事業者にネットワークシステムを導入するノキア シーメンス ネットワークスは、モバイル通信の潮流をどう捉えているのか。グローバルと日本の関係は、そして今後のノキア シーメンス ネットワークスの目指すところは──。スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC) 2012の会場で、同社のグローバルのマーケティング部門のトップを務めるバリー・フレンチ氏にインタビューした。

interview-1.jpgバリー・フレンチ
ノキア シーメンス ネットワークス マーケティング&コーポレートアフェアーズ責任者
2006年5月にノキアに入社、ノキア シーメンス ネットワークス発足を経て現職。マーケティング、コミュニケーション、財務・業界アナリスト関連、コーポレートセキュリティ、政府関連、規制関連業務、企業の社会的責任および持続可能性、職務上の健康と安全に関する業務を担当。ベイズ大学で政治学を学び、コロンビア大学国際関係行政大学院で国際情勢修士号を取得。政府、企業、政治家のコンサルタントとしてコミュニケーションにおける幅広い経験を持つ。

3年前から予見していたシグナリング・トラフィック問題

──スマートフォンの急速な普及で、日本ではデータそのものだけでなく制御信号であるシグナリングのトラフィックも爆発する問題が現実のものとなってきました。グローバルでの状況はどのようなものでしょうか。

フレンチ氏:この問題は、いま急に起こったことではないのです。ノキア シーメンス ネットワークスでは、シグナリングの爆発は必ず問題になるということを、3年ほど前から提示してきました。データそのもののトラフィックももちろん増加するのですが、シグナリングはそれを上回るペースで急増する危険性が高いということです。そのために、手を打たなければいけないということは、ノキア シーメンス ネットワークスでは既知の問題だったのです。

そこで、ノキア シーメンス ネットワークスでは、シグナリング量を減らす手法を研究してきました。3GPP(Third Generation Partnership Project)の標準化にも提案しています。数年前にこうした考え方をしていたのはノキア シーメンス ネットワークスが先行しており、現在でも他社の追随を許さないポジションにいると考えています。

スマートフォンの普及は、日本よりも他の国が先行しています。しかし、ネットワークのトレンドは、日本の状況を他の国が追っていると考えています。シグナリングの爆発も、世界中の通信事業者が「必ず起こること」という認識はしていながら、その意味を理解したり対策を施したりするところまで至りません。日本で実際に起ったことが、教訓となって追随する世界の国々に広まれば、問題の解決が比較的楽になる可能性はあります。

ノキア シーメンス ネットワークスでは、先見性をもって着目していたシグナリングの爆発問題に、解決のための技術を各国で提供していきたいと思っています。

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強みは「モバイルブロードバンド」へのフォーカス

──スマートフォンの端末は増えていますが、通信業界の市場環境は厳しさを増しています。欧州金融危機といった違う側面からのダメージもあります。そうした中で、ノキア シーメンス ネットワークスは、どのような点を強みとしてビジネスの展開を考えていますか。

フレンチ氏:シグナリングの問題に早くから着目していたように、現在でも先見性のある製品開発を続けていて、そうした点が企業としての強みだと認識しています。それは、他の通信機器ベンダーと異なるストラテジーに基づいていることが根底にあるのです。通信機器ベンダーとしての競合他社は、全方位にフォーカスを当ててビジネスを推進しています。一方、ノキア シーメンス ネットワークスは「モバイル ブロードバンド」にフォーカスしているのです。フォーカスすることにより、R&Dを成長の早い分野に特化させることができます。

成果として、ユニークなイノベーションがいくつも得られています。その例として、効率の高いエリア作りができるアクティブ・アンテナ・システムを提供してきたこと、新しいスモールセルの技術であるFlexi ZoneやユニークなCEM(Customer Experience Management)ツールの開発などが挙げられます。他社に例を見ない独自の技術は、リソース集中による効率的なビジネス展開の成果と言えます。

──具体的にどのような点で優位性があるとお考えですか。

interview-2.jpgフレンチ氏:例えば、スモールセルの構築技術のFlexi Zoneは、マクロセルの伝統的なコンセプトや構成を変更してしまうものです。ユーザーの密度が高いところには、従来はより多くの基地局の配置で対応する必要がありました。しかし、スモールセルであっても多くの基地局を設置するのは大変です。Flexi Zoneでは、最大100個のスモールセルを1つの基地局として制御できる仕組みを取り入れています。スモールセルを提供するアクセスポイントと呼ばれる装置を、共通のコントローラーで管理する仕組みで、複数サイトを協調して制御することが可能で、コントローラからインターネットに直接トラヒックを出す仕組みも具備しています。これにより、電波を有効に活用できるだけでなく、コストを押さえてマクロセルのトラフィックをオフロードすることができます。

トラフィックが急速に増えているところには必要な技術になるでしょう。日本のように輻輳が起こっている地域では、特にその効果があると考えられます。

もう1つ、CEMでは「CEM on Demand」と呼ぶソリューションを提供します。エンドユーザーのカスタマーエクスペリエンス(体験)を改善するためのツールです。回線状況や、アプリケーション、端末ごとのスループットなどを集中管理し、リアルタイムに状況を確認可能とすることで、改善への策を提示していきます。ノキア シーメンス ネットワークスでは、CEM on Demandは通信事業者のネットワーク管理者が利用するだけでなく、マーケティングなど多部門で利用できる共用のインフラにしようと考えています。

これはBlackBerryの例なのですが、BlackBerry端末はデータパックを購入していない通話だけのユーザーの端末でも、メールの有無を確認するパケットが飛びます。こうした端末が多くなると、ネットワークが混雑して誰にも価値を与えられない可能性が出てきます。そうしたときに、CEM on Demandを使えば、サーバー側から返信のパケットを飛ばさないような対応だけでなく、データパックを利用していないユーザーにパックの導入を促すメールを出すことをシステムが推奨することもできます。事業者は効率的なアクションが起こせるようになるはずです。

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日本市場の成長

──市場環境を見ると、通信機器ベンダーとしては新興企業もグローバル市場に参入しています。

interview-3.jpg

フレンチ氏:中国のベンダーなどは非常に強いと認識しています。ただ、実際に他社製品を導入した通信事業者などから、ノキア シーメンス ネットワークスにもう一度提案を持ってきて欲しいというご要望をいただくこともありますし、通信事業者は、新興企業だけでなく幅広く最適なソリューションを模索されていますので、弊社も積極的に対応しています。

例えば中国の場合、人件費が1つのメリットになる部分があります。しかし、それに関しては、ノキア シーメンス ネットワークスも中国に1万人、インドに1万5000人のスタッフを持ち、同様の労働力による生産体制を整えています。その上、フィンランドやドイツには優秀なエンジニアが大勢います。技術力と低コストでの生産というバランスは、私たちがより優れていると考えています。

──日本市場の今後をどう見ていますか。

フレンチ氏:日本のマーケットでは、ノキア シーメンス ネットワークスは昨年も成長を遂げました。日本以外のグローバルマーケットではほぼフラットな状況だったので、日本のチームの仕事ぶりを高く評価しています。

これは、ノキア シーメンス ネットワークスの技術・開発力と、日本チームがユーザーの声をきちんときいてフィードバックする丁寧な仕事をしていることの両輪がかみ合っているからだと思います。他国のパフォーマンスも改善しているのですが、日本には追いつけていません。

日本からは世界へのフィードバックに期待しています。日本では「技術」の先にある「品質」の要件が、非常に高いレベルで求められます。日本で売れるものを作るということは、世界に対して「ゲイン」がある品質の製品を手にしていることにつながります。ネットワークの側面では、世界的に密度の高いホットゾーンの対策が重要になっていきます。そうしたときに、日本の過密な状況をクリアできる製品は、有利な商材になるでしょう。

日本市場は特殊なのではなく、世界の先を進んでいるのです。LTEやスマートフォンといったグローバルなスタンダードの時代になり、再び世界が日本から学ぶときが来ていると考えています。


ノキア シーメンス ネットワークス in Mobile World Congress 2012

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