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米携帯通信市場、「ファミリーデータプラン」が焦点に - ベライゾン、今年夏にも導入へ

2012.05.17

Updated by WirelessWire News編集部 on May 17, 2012, 11:04 am JST

Plans - Verizon Wireless
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米国携帯通信市場での事業者間の戦いが、いよいよ新たな局面に入りつつあるようだ。

米携帯通信最大手のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless:以下、ベライゾン)は現地時間16日、同社が昨年から導入を明言していた1回線の契約で複数の携帯端末を利用できるいわゆる「ファミリーデータプラン」を今年夏にも導入するという。同社のフラン・シャモー(Fran Shammo)CFOが、JPモルガン(JP Morgan)主催の投資家向けイベントの中で明らかにした。

米通信市場では以前から音声通話についてはファミリープランが提供されてきている。いっぽう、データ通信については、すでにベライゾンとAT&Tの大手2社が従量制課金に移行済み(新規加入者が対象)だが、現在の料金プランはもっとも安いもので月額約15ドル(上限250MB:AT&Tの場合)、あるいは同20ドル(上限1GB:ベライゾンの場合)で、両社とも50ドル(5GB)で、上限に達した場合の追加料金が1GBあたり10ドルなどとなっている。

このため、スマートフォンに加えて、タブレットやパソコン用USBモデムなどまで契約するとなると、加入者にはかなりの支払い金額が発生することになる。同時に端末単位の回線契約では毎月使い残しのデータ量が増えるなど、加入者にとっては(実際の利用量に比べて)「料金の支払いすぎ」となるケースも目立ってきているという。

またこのことが一因となって、タブレット端末市場で携帯通信網接続機能付き製品の売れ行きが伸び悩んでいるとの指摘も出ている。実際、複数の端末を保有するユーザーの場合も、タブレットなどは携帯通信網にはつながず、Wi-Fiのみで利用するといったケースも増えているという。

さらに景気の低迷が続くなかで、これまで急拡大を続けてきたスマートフォン新規導入顧客の増加にも鈍化の兆しが見られ、今年1-3月期には初めて長期契約者(ポストペイド顧客)の数が減少に転じたという報告も出されている。

いっぽう携帯通信事業者側では、新規顧客の獲得から既存顧客のつなぎとめに重点をシフトする動きも見られ、契約期間途中での解約手数料の値上げや、新規端末切替時の手数料導入・引き上げといった動きも伝えられている。たとえばベライゾンではこの4月から新しい端末への切替時に30ドルの手数料を導入、AT&Tやスプリント(Sprint Nextel)でもこの手数料を36ドルまで倍増させているという。

携帯通信事業者としては、新規顧客の獲得コスト、ならびに端末メーカーからの仕入れ時に生じる割引金(販売助成金)の負担を減らすことで、利益率の向上をねらいたい考えと見られる。

ベライゾンのシャモーCFO氏は、ファミリーデータプランが提供されれば、多くのユーザーが端末をモバイルネットワークに接続するようになるとし、家族やスモールビジネス向けにも複数端末の利用が容易になる結果、同社の売上は全体として増加すると語ったという。

ベライゾンはすでに新規加入者には従量課金制のデータプランのみを提供しているが、その導入前にあった月額30ドルの3Gデータ無制限のプランをまだ利用しているユーザーも多い。シャモー氏は、これらのユーザーは4GのLTEネットワークへ移行する際に、無制限プランからファミリーデータプランに切り替えることになると話している。

さらにシャモー氏は、ファミリーデータプランの導入にともない、これまで通信事業者の収益性比較などに利用されているARPU(average revenue per user、加入者一人当たり売上)に加え、新たに契約回線数1件あたりの売上(average revenue per account:ARPA)という指標も設けることになるだろうと述べたという。ただし現時点では同プランの料金等詳細は明らなにされていない。

なお、AT&Tでもすでに「ファミリーデータプラン」の導入を示唆しているものの、現時点では導入時期など詳細は明らかになっていない。

この話題を採り上げたBloombergによると、米携帯通信市場でのデータ通信からの売上は昨年627億ドルを記録(CTIAデータを引用)。また、2009年からファミリーデータプランを提供しているカナダ最大手のロジャース(Rogers Communications)では、同プラン提供に伴ってデータ通信の新規加入者が急増し、現在ではデータ通信利用者の約4分の1がファミリーデータプランに加入しているという例を紹介している。

いっぽう、通信事業者にとってのリスクとしては、契約一本化によって売上が低下する可能性のほか、データ通信の利用(=トラフィック)拡大と「使い残し」分のデータ量減少により、通信インフラへの投資拡大の必要性がたかまることから、事業者間の体力勝負がさらに進む可能性もあるというサンフォード・バーンスタイン(Sanford C. Bernstein)アナリスト、クレイグ・モフェット(Craig Moffett)氏のコメントを紹介。

こうした可能性もあり、「米事業者各社はいま互いの出方を窺っている状態だが、どこかが導入に踏み切れば競合他社もいっきに続く」という通信コンサルタントのチェタン・シャルマ(Chetan Sharma)の見方を伝えている。

【参照情報】
AT&T, Verizon Face Off Over Rollout of Family Data Plans (Update 1) - Bloomberg
Verizon will kill 'grandfathered' unlimited data plans, push users to data share - Fierce Wireless
Verizon sees revenue increase from shared plans - Reuters
Verizon CFO: Arrival of Shared Data Plans This Summer Is a Game Changer - AllThingsD
Verizon phasing out unlimited data as customers switch to 4G - GigaOM
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