IPv6はIPv4アドレスと比較するとほぼ無尽蔵であり、広大なアドレス空間です。その他、Stateless address autoconfiguration(SLAAC) と呼ばれるIPv6アドレスとデフォルトルートの自動設定やヘッダ長が40Byteに固定化されている等の特徴があります。
▼IPv6ネイティブ接続環境とIPv6トンネリング接続環境
【IPv6ネイティブ接続環境】
イーサネット等のリンク層の上で、直接IPv6ネットワークを利用することです。IPv4ネットワークに影響されないIPv6だけのネットワークを構築することができ、プロトコルスタックがシンプルなのが大きな特徴です。IIJバックボーン内は、ネイティブ方式のIPv6/IPv4デュアルスタック環境になっています。このような専用線やデータセンター接続での利用に加えて、今ではNTTのフレッツでネイティブ環境を気軽に利用できるようになりました(フレッツにおけるIPv6接続については後述します)。
【IPv6トンネリング接続環境】
トンネル方式として、IPIPやPPTP、L2TP等を利用して、IPv6 over IPv4トンネルによるIPv6ネットワークを利用することです。広く普及したIPv4インターネット接続を利用することで、容易にIPv6ネットワークを構築することができます。手軽に導入できることが大きな特徴ですが、プロトコルスタックが複雑で、カプセル化するためのオーバーヘッドが必要なため通信効率が悪くなります。また、トンネル部分ではMTUサイズが小さくなるため、IPv6 Path MTU Discoveryの挙動に注意する必要があります。
なお、この方式は、IPv4インターネット接続が必須となるため、IPv4アドレスが入手できない場合には利用できません。IPv6への移行期においては有効なソリューションとなりますが、IPv4アドレス枯渇対策にはならないことに注意する必要があります。
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【IPv6 PPPoE接続】
▼インターネット(IPv6 PPPoE)の構成概要
「インターネット(IPv6 PPPoE)接続」は、現行のIPv4フレッツ接続と同じ接続形態で、PPPoEを用いて接続する方式です。エンドユーザはこれまで同様に、PPPアカウントとパスワードをルータ等に設定します。なお、IPv4とIPv6のデュアルスタック環境を実現するには、IPv4とIPv6それぞれのPPPoE接続設定が必要です。
特有の問題として、NGN網内との通信用のIPv6プレフィックスとインターネットとの通信用のIPv6プレフィックスが同時にエンドユーザに割り当てられ、正常な通信ができなくなる「マルチプレフィックス問題」が存在します。このため、「IPv6トンネル対応アダプタ」等を使用するか、「NGN網内専用IPv6プレフィックスを受け取らない」という設定にする必要があります。
文・宮本 外英(IIJ ネットワーク本部 ネットワークサービス部 ネットワークサービス課)、小野原 雄平(IIJ ネットワーク本部 ネットワークサービス部 ネットワークサービス課)
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