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IoTプラットフォームが注目されたIFAでアプリ開発が家電メーカーの課題に

2016.09.12

Updated by Yuko Nonoshita on September 12, 2016, 06:50 am JST

ドイツ・ベルリンで9月2日から7日まで開催された国際家電展示会「IFA 2016」では、大手メーカーが家電をネットワークし、スマホから自在にコントロールできるIoT対応製品が数多く発表されていた。IoTは昨年もIFAが注目するテーマの一つだったが、今年は大幅に出展数が増え、内容も充実しており、家電製品に無くてはならない機能になりつつある。

ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)がIFAで初披露した「XperiaTM Projector」でもIoT対応が強調された。「ヤフオク!」サービスと連携をブラウザではなく、IoTプラットフォームの「myThings」にあるAPIを使ってプリセット機能のように搭載しているが、このように製品へ後からアプリで機能を追加して付加価値を高めることが、今後の家電開発では当たり前になるかもしれない。

ドイツのトップIoTメーカーDigitalSTROMのMartin Vesper CEOは、スマートホームとロボティクスをテーマにしたセミナー「Robot@home」で。「これまでの家電はメーカーが機能を与えるものだったが、IoTでユーザーが求める機能を追加していくようになる」とコメントし、アプリ開発を行うプラットフォームや規格を共有できるアライアンスの必要性を強調していた。

▼ドイツのIoTメーカーもアプリ開発の必要性を指摘している。
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ヤフーのmyThingプラットフォーム公開は好感

ヤフーも「IoTで自社製品の付加価値を高められるかをmyThingsでいろいろ試せるよう、今回事業者向けにmyThings Developers ベータ版の無料公開に踏み切った」と言い、他のプラットフォームとの違いとして「ユーザーが慣れ親しんだ質の高いAPIサービスを提供できるのが強み」だとしている。防災速報や買物、見守りなどの機能や、LOHACOやニコニコ動画といったサービスが40種類以上あり、ベータ版の間は無料で使用できるほか、事業者が自社サービスのAPIをプラットフォームに公開することもできる。
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先行事例としてソニーモバイルとオムロンと連携を行っているが、利用登録すればどの事業者でも使える。「同じサービスでもウェブ上とハードウェアでは使い勝手が変わることがわかり、サービスを見直すきっかけにもつながる」とヤフーの担当者はコメントしている。IFAでの発表へも概ね反応は好意的で、出展メーカーの開発者からもmyThingsを試してみたいという声が聞かれたという。ただ今のところ対応言語は日本語版のみで、まずは日本のIoT市場活性化に力を入れる。

▼ソニーモバイルとの連携発表に対する海上の反応は上々だったという。
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プラットフォーム差別化のポイントは「ユーザーの利便性」

IFAではサムスンやLG、フィリップス、BOSHなど大手がIoTアプリ対応に力を入れており、展示スペースもかなり目立つものになっていた。AppleのHomeKitなども含めてプラットフォーム競争が激化するのは間違いないが、ユーザーにとっては「便利であればプラットフォームがどれだろうが関係ない」というのが本音だろう。ヤフーは「ユーザー本位のサービスを提供できるプラットフォームを目指し、IoT市場全体の認知度を高めていきたい」としている。

▼今年のIFAはIoT対応を強調するメーカーが多く目に付いた。
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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。