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オリンピック向け英国ガイド

2012.07.29

Updated by Mayumi Tanimoto on July 29, 2012, 06:04 am JST

オリンピック実行委員会は、オリンピックの最中に無償で労働するという奇特な趣味を持った方々に66ページに及ぶ「オリンピックのマナーガイド」なる物を配りました。

このガイドには、カナダ人をアメリカ人と呼ぶな、アメリカ人をバカと呼ぶな、泥酔して殴り合いを始めるな、どこでもタバコを吸うな、フランス人をニンニク野郎と呼ぶな、万引きするな、ガーナには水はあるかと聞いてはいけない、などと書いてあるのかどうか知りませんが、私は親切なので日本人向けの英国ガイドを書いてみようと思います。

ブラックキャブの運転手に話しかけていいかどうか。ええ、平気です。ロンドン名物のプロの運転手ですから。オリンピックは最高、女王にあったことはあるか、毎日アフタヌーンティーを楽しんでいるか、着ている物はバーバリーか、ビートルズが大好きなど、運転手の方には積極的に話しかけてみてください。

運転中延々と話してください。

ただし、気がついたらタクシーがバーミンガムについていても私は一切責任を持ちませんが。

イギリス人は並ぶかどうか?ええ並びますよ。一応。でもね機嫌が良ければ並ぶんです。並びながら何か食べるとか、「この尻の穴!!!!」と悪態をついたり放尿することもありますから、周りがそんな感じなら、ぜひ周囲に合わせてみてください。

イギリス人は礼儀正しいか?ええ、正しいです。日本人以上です。オリンピックの警備員が激しく不足してようが、高速道路にひびが入ってようが、ミサイルがオリンピックスタジアムに向けて発射直前でも「ええ何も問題ありません。完璧です」と答える礼儀正しさを持っています。

「漏れてません、完璧です。安全です。地震がいくら来ても平気ですよ!」と答えていた日本人の礼儀正しさにそっくりですね。

さすがお互い島国です。

イギリスでは挨拶がとても大事です。そして外国ではフレンドリーに振る舞うのが一般的です。その辺を歩いているイギリス人には「What's up」「Hi guys」「Hey man!」と明るく話しかけてください。

しかし、激怒したイギリス人にボコボコに殴られたり、「師ね!!!!」と吠えられても私は知りませんが。

英語と言えばアメリカ英語です。アメリカ英語は世界共通語ですから、ここイギリスでも大人気です。みんなアメリカ人が大好きですからね。エレベータは「えれべいたーああああ」、マクドナルドは「まくだああああなる」、「あら素敵ね」は「おおおおーざっつべりーいいにーと」、と言いましょう。

そして私はアメリカ英語を勉強した、アメリカ英語は世界一と積極的にアピールしてください。

ただし、パブやレストランで誰も注文を取ってくれなくても私は知りません

服装には気を配ってください。なにせここは紳士淑女の国ですから、服装で判断されがちです。イギリスではバーバリー、アクアスキュータム、プリングルなどのイギリスブランドで決めて、キラキラの時計や宝石で決めてください。どこでも素晴らしいサービスを受けられることでしょう。

でもオリンピックスタジアムの周りで強盗にあっても私は知りません。

そういえば三週間前、スタジアムの隣のショッピングセンターで刺殺事件がありました。

あの辺りって、ロンドンでは絶対に住んじゃいいいない地域の一つなんですよ。イギリス政府はロンドンの真の姿を見せたいからあそこにスタジアム作ったんでしょうね。

空港についたら入国管理のカウンターではオリンピックを見に来ました、と元気よく答えてください。英語でですよ、英語。そして「自分はテロリストではない、爆弾は持っていませんよ」と頑張って証明してくださいね。

ただしカウンターにたどり着くまで四時間ぐらいかかるかもしれませんので、その頃には、証明する必要性をすっかり忘れているかもしれませんけど。

同じ列でアメリカ人が叫んでいるはずですから(人権の侵害だとか、アメリカではこんなのあり得ないとか、団結して文句を言うべきだとか、まあ、色々言っていると思います)、どうどうどう、となだめてあげてください。

欧州委員会に訴えたらどうですか、あなたの国では訴訟が大好きでしょう、と親切に教えてあげるのもいいかもしれません。アメリカ人は親切な人が好きなんです。

怒った入国審査間が「そこの人!!こっちに!!」と怒鳴りながら、そのアメリカ人の荷物を、ゴミ収集用のゴム手袋はめた手でひっくり返してるかもしれませんが。(ここでは怪しい入国者の荷物をゴミ収集用のゴム手袋で調べて公衆の面前で「何だこれわ!!!!!」と怒りまくるんですよ。そうすれば家で妻や夫に文句を言わなくて済みますからね)

オリンピックスタジアムの周りに人が沢山いたら、オリンピックなのか、暴動なのか、見極めてください。

これはイギリスにおけるマナーです。

トラックに運動靴をつめて走り回っている人がいたら暴動かもしれませんけど、オリンピックだと運動着を着た人がたくさんいるので見分けが難しいですね。

地下鉄に乗る時はぜひ現金で券を買ってください。現金は世界一信用できる支払い方法ですからね。イギリスの券売機なんて信用しちゃいけませんよ。機械は壊れるんですから。

周りの人がプラスチックの青いカードでピコピコと改札を通っている?オイスターと書いてある?

気にしないでください。あれは遊びでやっているんです。

無線LANがつながらない?携帯電話が混線する?ぜひカスタマーセンターに電話して一流の顧客サービスを体験してください。

通信業界のプロであれば絶対に体験しなくてはなりません。

ただし電話がつながる先はインドやエジプトですが。

ではみなさん楽しいオリンピックを!

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。