WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

[2012年第34週]家電も車載器もスマホ連携、Android搭載デジカメ、女性を狙うマルウエア

2012.08.27

Updated by Naohisa Iwamoto on August 27, 2012, 10:30 am JST

お盆休みが明けた第34週は、スマートフォンなどと連携して新しい使い方を提案する製品の発表が目についた。スマートフォンやインターネットと連携することで、既存製品の枠組みを超えた需要を狙う。狙うという意味では、女性にターゲットを絞ったスマートフォン向けのマルウエアも発見された。

家電からデジカメまで、続々とネット連携

スマートフォン1台で家庭内の機器を使いこなせる時代がそこまで来ている。パナソニックは、スマートフォンを通じてクラウド型サービスなどと接続できる「スマート家電」の新製品を発表した。冷蔵庫、ドラム式洗濯乾燥機、体組成計、活動量計、血圧計、エアコンの6カテゴリーの製品である。

201208271030-1.jpg

冷蔵庫「NR-F557XV」では、Androidスマートフォンで本体にタッチすることで、冷蔵庫のエコ情報がスマートフォンで確認できる。ドラム式洗濯乾燥機の新シリーズでは、Androidスマートフォンを洗濯乾燥機本体にタッチすることで、クラウドサーバーに接続して洗剤や柔軟剤の種類の設定情報をダウンロードしてしたり、洗濯の目的に合わせたコースの設定ができる。体組成計、活動量計、血圧計は、Androidスマートフォンでそれぞれの本体にタッチすることで、測定データを管理できる。

エアコンの新シリーズ「Xシリーズ」は、スマートフォンでの外出先などからなどの遠隔操作が可能になった。出先から帰宅前にエアコンを運転オンしたり、寝室からリビングのエアコンを操作したりといった利便性を提供する。また、現在だけでなく、過去の電気代もスマートフォンで確認できる機能も備える(報道発表資料:トップユニット冷蔵庫 NR-F557XV 他 6機種を発売ドラム式洗濯乾燥機 NA-VX8200L 他 4機種を発売活動量計「デイカロリ」 EW-NK63 を発売手くび血圧計 EW-BW53を発売体組成バランス計 EW-FA43を発売ルームエアコン「Xシリーズ」を発売)。

201208271030-2.jpg

自動車の車載型ディスプレイも、スマートフォンと連携する。パナソニックのオートモーティブシステムズ社は、車載機とスマートフォンとの連携サービス「MirrorLink」を日本市場でも開始した。これは2011年11月に欧州で開始したもの。国内では当初、トヨタ自動車に納入しているディスプレイ・オーディオ「スマホナビ対応ディスプレイ」と、NTTドコモが販売するパナソニック製のスマートフォン「ELUGA V P-06D」の組み合わせで利用できるようになる。「MirrorLink」を利用することで、スマートフォン画面を車載ディスプレイに表示し、車載機側からスマートフォンアプリの操作ができる(報道発表資料:日本初 車載機とスマートフォンとの連携サービス「MirrorLink」を日本市場に導入)。

===

201208271030-3.jpg

逆に、デジカメ自らがスマートフォン的な機能を備えてしまうアプローチがこれ。ニコンは、ネットワークにつないで楽しめるデジタルカメラ「COOLPIX S800c」を発売する。OSにAndroid 2.3を搭載し、Wi-Fi機能を備える。インターネットに接続することで標準のGoogleマップやGmail、YouTubeなどのアプリのほか、Google Play経由でアプリをダウンロードして利用できる。カメラとしては1602万画素の裏面照射型CMOSセンサーや光学10倍ズームのNIKKORレンズを搭載し、スマートフォンを圧倒する撮影機能を備えるだけに、ネットとの連携で新しい価値が提供できそうだ(報道発表資料:「COOLPIX S800c」「COOLPIX S01」「COOLPIX S6400」を発売)。

スマートフォンは2400万人に普及、女性ユーザーが狙われる

マーケットの動向としては、コムスコア・ジャパンが日本の携帯電話利用者の最新状況を分析した調査結果を公表している。これによると、2012年6月までの3カ月の平均データで、国内のスマートフォンユーザーは2400万人を超え、全携帯電話におけるスマートフォンの浸透率も23.5%に達した。

スマートフォンのプラットフォーム別のシェアは、グーグルのAndroidが1位で64.1%、アップルのiOSが2位で32.3%、3位にはマイクロソフトが3.2%で入った。Androidは3カ月前の調査よりも1.9ポイント上昇、逆にiOSは1.4ポイントの減少となった(関連記事:日本のスマホユーザーは2400万人超、コムスコアの調査

利用者が増えれば狙う輩も増える。シマンテックは、女性Androidユーザーをターゲットにしたマルウエア「Android.Loozfon」を発見したことを明らかにした。アプリ内に潜むタイプで、デバイスに保存されている連絡先情報とデバイス自体の電話番号を盗み出すことが目的だ。これ自体はよく見かけるタイプのマルウエアだが、攻撃者が特に女性をターゲットにしたスパム送信で感染を広げようとしていることが特徴的。スマートフォンの急速な普及でAndroid端末を利用する女性も増えていることが、マルウエアの世界にも影響していそうだ(関連記事:女性Androidユーザーを狙ったマルウェアが発見される)。

===

Xiは500万突破、キャリアーの動向

キャリアーのニュースもいくつかあった。NTTドコモは、LTEサービスのXiが8月19日に500万契約を突破したとアナウンスした。Xiは2010年12月24日にサービスを開始したLTEサービス。300万〜400万契約の100万契約増加は約1カ月半かかったが、400万〜500万契約では一段とペースアップして28日で100万契約の増加を達成した(関連記事:「Xi」が500万契約を突破、100万契約増加を28日で達成)。

報道発表資料
201208271030-4.jpg

ひっ迫する3Gからのトラフィックオフロード(参考情報)は、Xiだけが対象ではない。NTTドコモは公衆無線LANサービス「docomo Wi-Fi」の月額使用料(315円)が無料になるキャンペーンを2012年9月1日〜2014年3月31日の期間で提供する。同社が指定した定額サービスへの加入が適用条件となるが、条件を満たしていればキャンペーン終了後も無料で使い続けられる。料金面での優遇によりWi-Fiオフロードの実効性を高める(報道発表資料:「docomo Wi-Fi永年無料キャンペーン」を実施)。

KDDIのiPhoneでサービス強化。auのiPhone 4Sで、留守番センターに接続した相手がメッセージを残さずに切った場合に相手の電話番号と着信日時をSMS(i)で通知する「着信お知らせ」機能と、自宅のメタルプラス電話やauひかり電話に不在時に着信があった場合に、SMS(i)で着信情報を受け取れる「KDDI電話 auで着信確認」機能を利用できるようにする。提供は8月27日から28日に順次開始(関連記事:KDDI、au版iPhone 4Sに「着信お知らせ」機能を提供
)。

キャリアー決済できるマーケット、お二人向けSNS

その他の注目ニュースを紹介する。ACCESSPORTは、同社が提供する独自のAndroid向けマーケット「TapnowMarket」がソフトバンクモバイルのキャリアー決済「ソフトバンクまとめて支払い」に対応したと発表した。これにより、TapnowMarketは国内主要3キャリアーのキャリアー決済への対応が完了し、ユーザーの利便性が高まる(関連記事:ACCESSPORTのAndroidマーケット「TapnowMarket」、主要3キャリアーの決済に対応)。

jig.jpは、2人だけで専用利用できるモバイル向けのソーシャルサービス「Pairin」(ペアリン)の提供を開始したと発表した。タイムライン上で写真やコメントなどを投稿することで、2人の思い出を記録できる。カップルなどで相手との間だけで利用できるため、安心してその時の気持ちや位置の情報などを投稿できる(関連記事:2人のためのソーシャルサービス「Pairin」、jig.jpがサービス開始)。

最後にハードウエアのニュースを1つ。ソニーは、新しい裏面照射型CMOSセンサー「Exmor RS」を開発した。独自の積層型構造を採用し、従来型の「Exmor R」と比べて高画質化や小型化が図れる。おもにスマートフォンやタブレットでの採用を目論む。一層の高感度化や小型化に加えて、新しく動画でも逆光で上手く撮影できるHDRムービー機能を備えるなど高機能化にも対応する(報道発表資料:世界初積層型CMOSイメージセンサー"Exmor RS"を商品化)。

昨年の第34週のできごと

・販売の半数はスマートフォンに
・進むスマートフォンのセキュリティ対策
・Windows Phoneがついに発売
・国際SMS開始などキャリアーがサービス拡充
・未来を少し先取り

[2011年第34週]市場のスマホシフトが鮮明に、セキュリティ製品相次ぐ、Windows Phone発売

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。