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[2012年第23週]純増首位のソフトバンクに迫るのは? 150Mbpsの超高速ルーター発表

2012.06.11

Updated by Naohisa Iwamoto on June 11, 2012, 16:30 pm JST

東日本でも梅雨入りしたこの週、毎月恒例の事業者別契約数の発表があった。ソフトバンクモバイルが依然として好調で純増数では5カ月連続の首位を走る。WiMAXのUQコミュニケーションズがそれに続く純増数を得ていることが注目だ。また、イー・アクセスは150Mbpsの高速LTE対応のルーターなど夏モデルを発表している。それでは、通信事業者の話題から順にチェックしていこう。

ソフトバンクが依然好調、イー・アクセスから150Mbps対応ルーター

まず、電気通信事業者協会(TCA)が発表した2012年5月末の事業者別契約数のニュース。純増数は、ソフトバンクモバイルが25万8100で5カ月連続の首位、次いでKDDIが19万9000、NTTドコモは12万6600と振るわなかった。UQコミュニケーションズが20万を超える純増と好調ぶりを示し、20万にわずかに届かなかったKDDIの純増をも上回る数字となった(関連記事:5月の契約数、ソフトバンクが5カ月連続で純増トップ、UQも好調

2012年05月末現在 事業者別契約数
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TCAに統計情報を提供していないイー・アクセスは、新端末の発表で存在を示した。最大のトピックは、下り最大150MbpsのLTE通信規格「UE Category4」に対応したモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi LTE(GL04P)」を発表したこと。まだ対応するサービスがないため、現状では下り最大75Mbpsでの利用となるが、将来的に高速サービスを利用できる能力を持っている。また、クアッドコアCPUや10.1インチフルHD対応ディスプレイを搭載したAndroidタブレットを発表した(関連記事:下り150MbpsのLTEに対応したWi-Fiルーターなどをイー・アクセスが発表)。

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スカイツリー展望台で通信! ドコモの海外パケホが全事業者対応に

新しいサービスの展開を見ていこう。UQコミュニケーションズは、東京スカイツリーの天望回廊および天望デッキでWiMAXのエリア整備が完了したと発表している。UQコミュニケーションズの調査では、展望デッキフロア350出発ゲート付近で、下り19Mbps/上り7Mbpsのスループットを得られたという。高層階で利用できるようにするため、地上に設置した2つの局から東京スカイツリーの展望デッキに向けて電波を照射する(関連記事:UQ、東京スカイツリーの展望デッキでWiMAXを利用可能に)。

海外のデータ通信が使いやすくなりそうだ。NTTドコモは、国際ローミング中のパケット定額サービス「海外パケ・ホーダイ」を、海外パケ・ホーダイ適用対象国・地域の全通信事業者に拡大する。これまで、海外パケ・ホーダイには対象となる事業者と対象にならない事業者があった。そのため、海外パケ・ホーダイを利用するには、渡航者が手動で海外パケ・ホーダイ対象事業者を選ばなければならなかった。今回、全事業者が対象になることで、誤って対象とならない事業者に接続して高額な請求が来るといったリスクをなくせる。実施は7月1日から。これに合わせて対象国・地域も21カ国追加し、85カ国になる(報道発表資料:海外パケット定額サービスを対象国・地域の全通信事業者に拡大)。

新しいandroid向けの電子書籍サービスが始まる。ACCESSPORTは、電子書籍サービス「Tapnowブックストア」を独自のAndroid端末向けマーケット「TapnowMarket」内で提供開始した。コミック・小説・写真集などのコンテンツを提供する電子書籍サービスとして開始する。当初は1万2000冊でスタートし、近々に3万冊にまで拡大予定。「宇宙兄弟」「進撃の巨人」「毎日かあさん」「けいおん!」などの人気コンテンツを当初から販売する(報道発表資料:Android向け電子書籍アプリ「Tapnowブックストア」がオープン)。

利用イメージ図
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災害や放射線への対応、法人向け内線サービスも拡充

このほかのトピックを紹介する。KDDIは、災害時の音声メッセージををパケット網を介して届ける「災害用音声お届サービス」を開始した。災害時にauスマートフォンで安否状況を録音した音声メッセージを、3G網やWiMAX網を経由してパケット通信で届けるもの。回線交換方式の通話がつながりにくい災害時に、安否の確認をしやすくする。NTTドコモは3月から同種のサービスを提供しており、それに次ぐもの。加えて、災害時でもEメールを受信しやすくする機能も提供する(関連記事:KDDI、音声メッセージをパケットで届ける災害時対応のサービスを開始)。

ソフトバンクの「PANTONE5 107SH」が搭載して話題になっている放射線センサー。今後、搭載する機器が増える可能性が出てきた。シャープは、スマートフォンなどのモバイル機器に搭載できる、業界最小サイズの放射線センサーモジュール<QM1H0M005x>を販売する。空中の放射線(ガンマ線)を電流に変換するフォトダイオードと、新開発した専用ICにより構成され、汎用の部品で構成した場合に比べて約55%の小型化を実現した。低消費電力での動作も実現し、モバイル機器に放射線の測定機能を搭載しやすくした(報道発表資料:業界最小サイズの放射線センサモジュールを開発、発売)。

法人向けのサービスを拡充。NTTドコモは法人向けの全国型内線サービス「オフィスリンク」に、クラウドで提供するPBX(構内交換機)機能を使える「仮想PBXタイプ」を追加する。オフィスリンクは、PBXとドコモのネットワークを接続することで、ドコモの携帯電話同士、ドコモ携帯電話と固定電話、固定電話間のそれぞれで、定額の内線通話が実現できるサービス。今回、PBXをユーザーが導入しなくても利用できるクラウド型のサービスを提供することで、導入や保守・運用の障壁を下げる(報道発表資料:全国型内線サービス「オフィスリンク(仮想PBXタイプ)」を新たに提供開始)。

スマートフォンの消費電力をわかりやすく示したビデオが公開された。クアルコムは、スマートフォン用のプロセッサーの消費電力を比較するために、発熱状況を"バターの溶け具合"で示すビデオを公開している。クアルコムのSnapdragon S4を搭載したスマートフォンに乗せたバターが「溶けにくい」、すなわち消費電力が少ないことを示している。ビデオでは、Snapdragon 4を搭載したスマートフォンに乗せたバターが最も溶けにくく、残り2台のバターがどんどんと溶けていく様子が写されていて面白い(関連記事:クアルコム、スマホの消費電力を"バターの溶け具合"で比較するビデオ)。

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昨年の第23週のできごと

・ウィルコムの復活劇、新人Androidはすでに主役に
・事故、紛争、買収--キャリアーの動き
・980円定額データ通信サービスやFacebookクーポンが始まる
・スマートフォンをさらに便利に使う

[2011年第23週]ウィルコム契約が急増、Androidの出荷はiPhoneの3倍に、980円の定額データ通信始まる

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。